高価だが不可欠なパトリオット
パトリオットミサイルはウクライナの防衛に重要な役割を果たしており、ロシアの最も高価で高性能な部類に入るミサイルを迎撃してきた。とはいえ、このシステムを運用するには定期的な整備や訓練された人員が必要であり、訓練を受けた人員も、ミサイルをいつ使うかについては慎重な判断が求められる。パトリオットミサイル1発のコストはおよそ400万ドル(約5億9000万円)とされ、システム全体の価格は10億ドル(約1470億円)を超える(発射機やレーダー、射撃管制装置などのハードウェアで4億ドル、ミサイルで7億ドル)。ウクライナは迎撃ミサイルの備蓄維持に苦慮しており、これらのミサイルの移送や配備をめぐる兵站上の課題もある。
パトリオットは非常に高価なこともあり、大規模な配備が難しい。ウクライナは主要都市や重要インフラを防衛するだけでも、パトリオットシステムが25〜30基必要だとみられている(編集注:現在運用されているのは6〜7基とみられる)。
米国は自国のパトリオットシステムの不足を懸念しているが、パトリオットの売却先の国々(ドイツ、オランダ、スウェーデン、ルーマニア、ポーランド、ギリシャ、スペイン、日本、韓国、台湾、クウェート、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イスラエルなど)のなかには、備蓄分の一部をウクライナに譲渡する用意がある国もあるかもしれない(編集注:ドイツのボリス・ピストリウス国防相は21日、ウクライナへのパトリオットシステム5基の引き渡しで米国と合意したと発表した)。
パトリオットシステムはウクライナにとって万能の解決策のようなものではない。しかし、カバーできる範囲が限られるとはいえ、配備すれば民間人や、電力網、兵器工場などの非常に重要インフラを守ることができる。ロシアが停戦に関心を示していない現状では、パトリオットはウクライナが国の存立を確保していくうえで不可欠な手段である。


