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2025.07.26 08:30

応募殺到の井村俊哉「日本株Kaihouファンド」、腐りかけ納豆理論とは

井村俊哉(写真中央)、竹入敬蔵(同左)Kaihou|川合直也 (同右)fundnote

井村俊哉(写真中央)、竹入敬蔵(同左)Kaihou|川合直也 (同右)fundnote

2025年7月25日発売のForbes JAPAN9月号は「次のバフェット・モデルを探せ」特集だ。一代で1500億ドルの資産を積み上げたオマハの賢人、ウォーレン・バフェットの引退表明というビッグニュースは、瞬く間に世界中に響きわたった。足元では、トランプ第二次政権の関税政策によって世界経済の不透明感が高まり、景気の先行きが読めない不安相場に。金融マーケットは大きな潮目を迎えた可能性がある。投資家たちはこの変化にどう向き合っていくべきか。有力ファンドマネージャーやトップストラテジスト・アナリスト、株価好調企業の経営トップ、著名な個人投資家、海外著名人らに総力取材。これからの最良の資産運用のあり方を探した。

著名投資家の井村俊哉が投資助言者に名を連ねる、2025年最注目の新規投信「fundnote日本株Kaihouファンド」。運用方針もさることながら、驚かされるのは掲げるビジョンの壮大さだ。


2025年上半期に最も注目を集めた投資信託は、fundnoteの「日本株Kaihouファンド」だろう。新規設定は1月27日。当初申込期間内で上限額に達したため一時募集を停止。当初設定額99.83億円は、国内の公募投信直販ファンドとして過去最大額だった。年初来資金流入額は257億円(5月16日時点)で、上半期の日本株アクティブ型ではトップだ。

なぜこのファンドが人気なのか。それは著名投資家の井村俊哉が投資助言者に名を連ねているからにほかならない。

井村は元お笑い芸人で、投資系YouTuberとしても活躍。累計80億円の運用益をあげていたが、23年、運用会社でポートフォリオマネジャーを務めていた竹入敬蔵とKaihouを立ち上げた。「日本株Kaihouファンド」はKaihouが投資助言を行う初のファンドであり、個人投資家のあいだでは「井村ファンド」とも呼ばれている。

同ファンドは、本源的な価値と市場価格との乖離が著しい国内割安株に投資するバリュー投資型だ。井村は個人投資家時代からバリュー投資の腕を磨いてきたが、その理由を「腐りかけの納豆がいちばんうまいから」と表現する。

「スーパーでバナナやイチゴが半額になるときは味=価値も落ちています。しかし納豆は賞味期限間際になると、価格は半額になるのに納豆菌が増えていて、むしろおいしい。バリュー投資は、本当は価値が上がっているのに半額シールが貼られている納豆を見つける投資です」

とはいえ、国内約4000社から食べごろの銘柄を見極めるのは容易ではない。Kaihouでは、竹入が全上場企業の適時開示をチェックするなどして発掘。井村がそのなかから厳選するという役割分担でお宝を見極める。

「竹入は人と話すときもずっと自作のシートで分析している。気持ち悪いでしょ(笑)。でも、100点満点の90点以上といえる銘柄を彼ほどの速さで調べ上げられる人はほかにいない」(井村)

「90点のなかから100点を選ぶのは費用対効果が悪い。しかし、井村はお米を磨いて大吟醸の日本酒をつくるかのように、最後のところに手間をかける。そのこだわりは感心します」(竹入)

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文=村上 敬 写真=小田駿一

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