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2025.07.26 08:30

応募殺到の井村俊哉「日本株Kaihouファンド」、腐りかけ納豆理論とは

井村俊哉(写真中央)、竹入敬蔵(同左)Kaihou|川合直也 (同右)fundnote

一方、Kaihou側にもfundnoteを選ぶ理由があった。一般的にアクティブファンドは数十以上の銘柄に分散投資するが、Kaihouは十数銘柄に厳選する集中投資。投資先の企業価値を高めるためのエンゲージメントもアクティビスト並みに積極的に行う。ただ、大手は極端な投資戦略を嫌う。「たくさん売ってくれる会社より、フルスイングさせてくれる会社」(井村)としてfundnoteを選んだのだ。

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その決断が生きたのは、トランプ関税で相場が暴落した4月頭だった。その間、同ファンドのパフォーマンスはTOPIXに劣後。基準価格が約15%下がったときに井村が取った行動は異例だった。

「受益者のみなさんへの説明責任を果たしたい。そして不甲斐ない結果について謝りたくて、オンラインで緊急説明会を開きました。川合さんは『ベストを尽くしていたのだから謝るのは違う』と難色を示しましたが、最終的にはやらせてくれた。fundnoteだからできたことです」

結局、その後はTOPIXを上回るパフォーマンスを見せ、7月1日時点の基準価格は1万1468円と順調だ。

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同ファンドは船出したばかりだが、目線ははるか先にある。竹入は「基準価格10万円をできるだけ早く実現したい」。一方、井村は壮大な夢を語った。

「Kaihouの究極の目的は、ニッポンの解放。そのためには公募投信にこだわらず、バークシャー・ハサウェイや光通信のように純投資の選択肢もある。さまざまな形態をタブーなく模索しているところです」

日本のバフェットになれるのか、それとも大言壮語の夢想家で終わるのか。その判断は、あくまで自己責任でお願いしたい。


いむら・としや◎1984年生まれ。中小企業診断士。2006年群馬大学工学部卒。お笑いタレントの道に進み、「キングオブコント2011」では準決勝進出。個人投資家として通算運用益80億円を達成。19年にZeppyを起業。23年にKaihouを共同設立。(写真中央)

たけいり・けいぞう◎1986年生まれ。2009年東京大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス証券、国内独立系運用会社でのアナリスト、独立系ヘッジファンドのポートフォリオマネージャーを経て専業個人投資家に。23年にKaihouを共同設立。(同左)

かわい・なおや◎三井住友アセットマネジメント、日本株ロングショート戦略を行う香港籍ヘッジファンドにてセクターを横断した国内中小型株の調査、運用に従事。2021年、fundnoteを共同創業。京都大学卒、ロンドンビジネススクール修了。(同右)

文=村上 敬 写真=小田駿一

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