この他、クリストファー・ジョーンズ医師(LAレイカーズ チームドクター)と伊達公子(元プロテニス選手)による「選手とチームドクターが果たすべき長期キャリア維持の役割」、85歳にしてアイアンマン世界選手権を完走した稲田弘(ギネス世界記録保持者)による「歯科医療とパフォーマンス──105歳まで生きるには」など、7つのセッションが展開された。
いずれの対話も、医療とパフォーマンス、科学と日常生活、身体と社会との新たな関係性を探るものであり、従来の枠を越えた“知の接続”が試みられた一日となった。
語るべきは、すごい人だけじゃない
ここでひとつ忘れてはならない視点がある。健康も、医療も、食も、本来は“すべての人”に関わる切実なテーマだ。だが壇上に立つのは、超一流の科学者、経営者、アスリート、シェフといった、“すごい人すぎる人たち”ばかり。
冒頭のセッションで成田悠輔は、この構図に皮肉を込めて、「アンチサイエンスや言論の危機といった昨今の問題は、権力や資本を持つ一部のエリートがいい思いをしすぎていることへの庶民の反乱」と指摘。「もっと変な人を巻き込んで、わけのわからないプロレスをやって、東大から出禁を食らうぐらいが理想なのかなと思う」と語って会場の笑いを誘った。
科学の信頼をいかに築くか。政策や制度の設計にどう反映させるか。そして、誰の言葉が社会に届くのか。冗談のようでいて、問いかけているのは「ウェルネスは誰のためのもの?」という根源的な問題だ。
専門家の言葉を閉ざされたものにしないために。次回のSports Doctors Network カンファレンスでは、果たしてどんな“変な人”が巻き込まれるのか。楽しみに待ちたい。


