北米

2025.07.25 12:30

信頼できるニュースは誰が伝える? SNS発の著名人に分断される米国世論

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米国における「著名人メディア」の台頭

この報告書は、国ごとの違いも指摘しており、米国は世界の他の地域よりも速いペースでオンラインのニュースソースに移行している。

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ソーシャルメディアを主要なニュース源と答えた人の割合は、日本やデンマークではほぼ横ばいだが、政治的分断が進む国では上昇しており、英国では20%、フランスでは19%に達していると報告書は指摘している。

研究者は「しかし、全体的な依存度という点では、米国は異なる道をたどっているように見える」と指摘し、「ラテンアメリカ、アフリカ、アジアの一部など、ソーシャルメディアの利用が盛んで、政治的分極化が以前から問題となっている国々の仲間入りをしている」と述べている。

米国では著名人主導のオルタナティブメディアが大きな潮流となっており、米国のサンプル回答者の5分の1以上が、ドナルド・トランプの大統領就任後の1週間に「著名ポッドキャスターのジョー・ローガンのニュースやコメントに触れた」と答えた。またその多くが若年男性だった。

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また、元FOXニュースの司会者であるタッカー・カールソンについても同様の回答となっており、14%が「見聞きした」と答えている。そのほか右派ではメーガン・ケリー、キャンディス・オーウェンズ、ベン・シャピーロ、左派ではブライアン・タイラー・コーエン、デービッド・パックマンといった人物も広くアクセスされている。また、政治を語るインフルエンサーの大半が男性とされた。

オルタナティブメディアがもたらす光と影

トランプは、ポッドキャスターやYouTuberへのアプローチを強める一方で、従来メディアの記者会見へのアクセスを制限しており、これが信頼の欠如を助長している。

「報道の自由が脅かされている国々では、オルタナティブなメディアのエコシステムが、最も良い形で機能した場合には、新たな視点をもたらし、抑圧的な政府に異議を唱える機会を提供することもある」とロイター研究所は述べている。

「しかし同時に、こうした変化が政治的分極化の加速や、オンラインにおける議論の劣化に拍車をかけている可能性もある」と同研究所は指摘した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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