米国の玩具メーカーや販売業者らは、関税をめぐる不透明な見通しの中で、価格やサプライチェーンの動向を懸念しているが、年末商戦への準備を進める中で、玩具やコレクターグッズの需要が衰えていないことに励まされている。
玩具関連のニュースやレビューを手がけるウェブサイトの「ザ・トイ・インサイダー」が先日主催した展示イベントでは、60社以上のメーカーが、売上増を狙う注目商品を披露し、数百人規模の熱心なインフルエンサーたちが会場に詰めかけた。
「展示された革新的な製品の多さや、来場者が玩具と積極的に触れ合っていた様子は、今夏の玩具業界に対する一般的な予想とは逆の光景で、とても刺激的だった」と、業界誌『トイ・ブック』の編集長でトイ・インサイダーのシニアエディターでもあるジェームズ・ザーンは語った。
業界は今年、大きく変動する関税に翻弄されている。米国政府は、4月に中国製品に課す関税を最大145%に引き上げたが、5月には交渉の継続を前提に30%に引き下げた。この30%の関税は8月中旬に期限を迎え、再び引き上げられる可能性がある。米国で販売される玩具の約80%は中国製だ。
一時的とはいえ145%の関税が導入されたことで、一部の企業は新たな製品の生産を一時停止した。これにより、年末に在庫不足が起こる可能性が生じている。
玩具メーカーはこうした関税の圧力に対し、関税がかかっても価格を手ごろに保てるような低価格商品に注力するか、米国の関税が低い国への生産拠点の移転で対応している。さらに、関税の発効に先駆けて製品を米国に輸送した企業もある。
「こうした動きと年末に向けた革新的な玩具のラインナップは、新たな困難が生じるたびに我々が指摘するこの業界の打たれ強さを裏付ける好例だ」とザーンは語った。「創造力にあふれた人たちが力を合わせ、最高のエクスペリエンスを生み出そうと努力している。そして、それを実現している」と彼は続けた。
「ラブブ」が象徴する大人買いのパワー
市場調査会社サーカナの副社長で玩具業界のアドバイザーでもあるジュリ・レネットも、今年の年初からの4カ月の米国の玩具の売上高が6%増加したと報告し、「玩具業界は回復力がある」と評した。「朗報なのは、消費者が『必要なもの』や『自分をハッピーにするもの』にはお金を使う意志を示していることだ」とレネットは述べていた。
業界はまた、自分のために玩具を購入する大人たちの増加からも後押しされている。サーカナによれば、今年第1四半期の18歳以上の成人による玩具の購入は、前年同期比12%増の18億ドル(約2640億円)に達し、すべての年齢層で最多の支出額を記録していた。
トイ・インサイダーのイベントでは、現在最も話題のコレクターズ玩具である「ラブブ」も注目を集めていた。これは中国企業のポップマートが販売する製品で、Z世代の消費者がトレンドやユニークなコレクターズアイテムに依然として高い購買意欲を持っていることを示している。このぬいぐるみは、どのデザインが出るかが開けてみるまで分からない「ブラインドボックス」と呼ばれるスタイルで販売されており、特定のデザインを求める人が繰り返し購入する結果を招いている。




