インドのタタ・グループが出資する宝飾小売企業「タイタン・カンパニー」の一部門が、ドバイを拠点とするダマス・ジュエリーの株式67%を10億3800万ディルハム(約405億円。1ディルハム=39円換算)で取得することで合意した。
7月21日の声明によると、タイタン子会社「タイタン・ホールディングス・インターナショナル」は、カタールのマンナイ・コーポレーションからこの持分を取得する。この買収資金は、タイタンの社債と社内資金の組み合わせで調達される予定で、同社は残りの株式についても2029年末までに取得する方針という。
「ダマスの買収を契機に、当社はこれまでの在外インド人中心の展開から、他の国籍や民族にも事業を拡大していくことになる」と、タイタンのマネージング・ディレクター、C.K.ヴェンカタラマンは声明で述べた。湾岸協力会議(GCC)加盟国や米国での小売網を拡大したタイタンは今後、グローバル展開を目指す計画だ。
この取引の完了は規制当局の承認を条件とするが、完了すれば、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦に展開するダマスの146店舗がタイタンの傘下に入ることになる。タイタンはこれら市場では宝飾品需要が堅調だと見込んでおり、2020年にドバイ初の高級ジュエリー店Tanishq(タニシュク)を開設し、GCC市場に参入した。
1987年設立のタイタンは、タタ・グループとインドの州政府が所有するタミルナドゥ産業開発公社との合弁事業として運営されている。インド国内の400都市以上の店舗では、宝飾品、時計、眼鏡、フレグランス、女性用バッグ、インドの伝統衣装などを販売している。
タタ・グループはインド最古のコングロマリットで、昨年10月に死去したラタン・タタの下で、航空、自動車、金融、メディア、通信、テクノロジー、鉄鋼など多様な分野にまたがる一大産業グループに成長した。また同グループは、2007年には英鉄鋼大手コーラス・グループを、翌年には高級自動車メーカーのジャガー・ランドローバーを買収するなど、世界的なM&Aで知られている。



