政治

2025.07.23 11:30

求心力を失うロシア、旧ソ連の軍事同盟は崩壊に向かうのか?

集団安全保障条約機構(CSTO)首脳会合に先立ち、カザフスタンの首都アスタナで会談した同国のカシムジョマルト・トカエフ大統領(左)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(中央)。2024年11月27日撮影(Contributor/Getty Images)

集団安全保障条約機構(CSTO)首脳会合に先立ち、カザフスタンの首都アスタナで会談した同国のカシムジョマルト・トカエフ大統領(左)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(中央)。2024年11月27日撮影(Contributor/Getty Images)

アルメニアのニコル・パシニャン首相は16日、報道関係者を集めた会合を開き、国内の政治経済問題やロシアとの関係について議論した。その中で同首相は、アルメニアが加盟する「集団安全保障条約機構(CSTO)」内での今後の立場についても触れた。

CSTOは1992年、東欧、カフカス地域、中央アジアの旧ソビエト連邦諸国を対象とした軍事同盟として設立された。ロシアが主導するCSTOは、冷戦時代にソ連が主導したワルシャワ条約機構の後継と見なされてきた。

アルメニアはCSTO設立時からの原加盟国の1つだ。同軍事同盟の設立以来、アルメニア軍は他の加盟国とともに数多くの軍事演習に参加してきた。同国は2021年、CSTOの議長国も務めた。

しかしそれ以降、同国とCSTOおよびロシアとの関係は冷え切っている。アルメニアは、2020年と23年に隣国のアゼルバイジャンから攻撃を受けた際、CSTOがアルメニアに援軍を派遣しなかったとして、同軍事同盟が「アルメニアに対する義務を怠った」と非難。同国は2024年2月、同軍事同盟への参加を凍結する意向を表明した。それ以降、アルメニアはCSTOの軍事演習には参加していない。

今回の会合で、パシニャン首相は、CSTOとの今後の関係について記者から質問を受けた。それに対し同首相は「アルメニアが(同軍事同盟に)再参加するより脱退する可能性の方が高い」と言明した。

アルメニアがCSTOから脱退したとしても、初めての事例ではない。アゼルバイジャンとジョージアは1999年に加盟資格を更新せず、脱退している。両国はロシア主導のCSTOを超えて、他の国々との関係を強化する道を選んだ。また、2012年にCSTO加盟国のウズベキスタンとキルギスの間で小競り合いが起きた際、ウズベキスタンは同軍事同盟が自国を防衛しなかったとして脱退した。

他の加盟国も、CSTOやロシアとの間で問題を抱えている。例えば、カザフスタンは今後も加盟を継続するのか、考えあぐねている。ロシアは2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始した際、CSTOに支援を求めた。これに対し、カザフスタン政府は全面侵攻に反対の立場を示し、ロシアによるウクライナ領土の獲得を認めないと表明。CSTOに協力する代わりに、ウクライナに人道支援を送った。

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領自らも、ロシアから距離を置いている。同大統領は同年10月、自国で開催された中央アジア諸国とロシアの首脳会合期間中に、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との二国間会談を行わないと宣言した。これを受け、プーチン大統領は、カザフスタンはロシアに対して敬意を払うべきだとたしなめた。翌年6月にはロシア北西部サンクトペテルブルクで毎年恒例の国際経済フォーラムが開かれたが、トカエフ大統領は出席を見送った。それ以降、カザフスタン政府は、米国、英国、欧州連合(EU)との関係を深めている。

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翻訳・編集=安藤清香

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