宇宙

2025.07.23 10:30

1300光年先に「赤ちゃん太陽系」誕生の最初期段階、観測に初成功

オリオン座の方向約1300光年の距離にある生まれたばかりの星(原始星、中央)HOPS-315をALMAが捉えた画像。オレンジは原始星から噴出する一酸化炭素を、青は一酸化ケイ素を示している(ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/M. McClure et al.)

原始星HOPS-315から噴出する一酸化ケイ素(SiO)のジェットを、ALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)が捉えた画像。青色のジェットは地球の方向に、赤色のジェットは地球から遠ざかる方向にそれぞれ噴出している(ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/M. McClure et al.)
原始星HOPS-315から噴出する一酸化ケイ素(SiO)のジェットを、ALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)が捉えた画像。青色のジェットは地球の方向に、赤色のジェットは地球から遠ざかる方向にそれぞれ噴出している(ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/M. McClure et al.)

太古の隕石

太陽系では、この最初期の固体物質が太古の隕石に閉じ込められた状態で見つかることがある。こうした隕石に豊富に含まれる結晶性鉱物はSiOを含んでおり、原始惑星系円盤内に存在する超高温で凝縮する可能性がある。今回の研究では、SiOがガス状態と結晶性鉱物に含まれる状態の両方で検出されていることから、固化を始めたばかりであることが示唆される。

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論文の共同執筆者で、米ミシガン大学教授のエドウィン・バーギンは「このプロセスはこれまで、原始惑星系円盤内で、あるいは太陽系以外のどこでも確認されたことがなかった」と指摘した。

どのようにして発見されたか

HOPS-315星系はJWSTとALMAを用いて、赤外線とミリ波の波長域で観測した。ALMAは南米チリ・アタカマ砂漠のボリビアとの国境の近くにある山の上に設置された電波アンテナ66台で構成される干渉計で、世界最大規模の天文学プロジェクトの1つだ。

JWSTで最初に同定した結晶性鉱物の信号の発生源を正確に突き止めるためにALMAで観測した結果、信号は原始惑星系円盤のうち、太陽系の小惑星帯の軌道に相当する狭い範囲から発せられていることが判明した。論文の共同執筆者で、ライデン大の博士課程修了研究者のローガン・フランシスは「この太陽系外星系で鉱物が観測される位置は、その鉱物を含む太陽系の小惑星が見られるのと同じ位置なのだ」と説明している。

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原始星HOPS-315の周囲で高温ガス(一酸化ケイ素分子)が凝縮して固体鉱物(ケイ酸塩)ができる様子を描いたイラスト(ESO/L. Calçada/ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/M. McClure et al.)
原始星HOPS-315の周囲で高温ガス(一酸化ケイ素分子)が凝縮して固体鉱物(ケイ酸塩)ができる様子を描いたイラスト(ESO/L. Calçada/ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/M. McClure et al.)

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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