ソウルに拠点を置くIllimis Therapeutics(イルリミス・セラピューティクス)は7月14日、アルツハイマー病の治療薬研究や免疫疾患領域への進出のため、580億ウォン(約61億6000万円)を調達したと発表した。
同社のシリーズBラウンドは、ビリオネアのチョン・ヨンジが率いるバイオテクノロジー企業Caregen(ケアジェン)を投資先に含むDSCインベストメントの主導によるもので、他には韓国のAju IB InvestmentやIMM Investment、LB Investment、GSグループ傘下のGS Venturesらが参加した。今回の調達でイルリミスの累計調達額は6300万ドル(約92億4000万円)に達した。
イルリミスは、元ベンチャーキャピタリストのパク・サンフンと、生物学の教授であるチョン・ウォンスクおよびキム・チャンヒョクによって2021年に設立された。このバイオテクノロジーのスタートアップ企業は、高齢者の認知症の主な原因であるアルツハイマー病の治療に注力している。
イルリミスによると、同社の主力候補薬の「ILM01」は、アルツハイマー病の主要な原因とされる有毒なアミロイドタンパク質を、既存の治療で問題となる有害な炎症反応を引き起こさずに脳内から除去するよう設計されている。「ILM01」は2025年後半、前臨床段階に入る予定という。
今回の新たな資金調達により、イルリミスは免疫疾患にも治療対象を広げるとしている。同社の現在のパイプラインには、慢性の神経疾患である多発性硬化症の治療薬も含まれており、米製薬大手イーライリリーと共に、非公開の疾患に対する医薬品の開発にも取り組んでいる。
「当社は、この新たな調達と政府の助成金、イーライリリーとの提携により、臨床上のニーズが高い疾患の克服に向けた取り組みを加速していく」と、イルリミスの共同創業者でCEOのパクは述べている。
バイオジェンやイーライリリーをはじめとする世界の製薬大手は、アルツハイマー病の治療薬開発に数十億ドルを投入している。世界中で数百万人が罹患しているこの病気の患者は、高齢化によってさらに増えると予測されている。
しかし、副作用が少なく効果的なアルツハイマー治療薬の開発は依然として困難を極めている。現在、利用可能な最新の治療薬には、バイオジェンと日本のエーザイが共同開発した「レケンビ」やイーライリリーの「ケサンラ」などが挙げられる。これらの薬は、初期段階のアルツハイマー病の進行を遅らせることを目的としているが、完全な治療や症状の進行停止につながるものではない。また、脳のむくみや脳出血などの副作用も報告されている。
さらに、いくつかのスタートアップもアルツハイマー治療薬の開発に取り組んでいる。その一例には、ネスレや韓国のSK証券などが出資するシンガポール拠点のCerecinが挙げられる。



