北米

2025.07.23 11:00

米国初の暗号資産法「GENIUS法」が成立、ステーブルコインをドルに強制連動

7月18日、GENIUS法への法案署名を行うトランプ米大統領。(Photo by Win McNamee/Getty Images)

7月18日、GENIUS法への法案署名を行うトランプ米大統領。(Photo by Win McNamee/Getty Images)

トランプ米大統領は7月18日、GENIUS(ジーニアス)法案に署名し、暗号資産ステーブルコインに関する規制の枠組みを整備するための初の連邦法を成立させた。このことは、米国の暗号資産の監督体制における大きな一歩であり、デジタル金融で世界の主導権を握るという国の方針を示すことになった。

「今日は、米国のデジタル資産における優位性が確固たるものにされた日だ。これはドルにとっても、国家にとっても良いことだ」とトランプは、議員や業界関係者とともに出席した署名セレモニーで語った。

ステーブルコインは、米ドルと常に1対1で価値が連動するよう設計された暗号資産の一種だ。GENIUS法は、そのステーブルコインに対し包括的な連邦規制の枠組みを設けるもので、これまでグレーゾーンとなっていた消費者保護、金融の安定性、悪用防止に関するルールの整備を目的としている。

GENIUS法とは何か

GENIUS法は、ステーブルコイン発行者に対して、米国で初めて規制基準を導入する。すべてのステーブルコインの発行者は、米ドルまたは米ドルの短期国債による100%の準備金の保有を義務付けられ、毎月その準備資産の構成を公開し、発行残高が500億ドル(約7.4兆円)を超える場合は年次監査を義務づけられる。また発行者は、利子や運用収益を提供するステーブルコイン(いわゆるイールド商品)の発行を禁じられており、これにより銀行や投資商品とは明確に区別される。

署名セレモニーでトランプは、この新法が、米国の金融システムを強化しつつイノベーションを促進する可能性を強調し、「経済成長を加速させる」と述べた。また「すべてがドルの裏付けによって支えられている」と付け加えた。

この法律の支持者は、GENIUS法が暗号資産業界に明確なルールを提供し、ドルの世界的な覇権を強化するものと述べている。また、準備資産をドルや国債に限定しているため、米国債への需要が高まり、民間のイノベーションと国家の金融基盤との連携を強めると期待されている。

人工知能(AI)と暗号資産の特命担当、デービッド・サックスは、署名セレモニーで「ドルの覇権こそが、この法案の核心だ」と述べ、法案を起草したアーカンソー州選出のフレンチ・ヒル下院議員(共和党)およびテネシー州選出のビル・ハガティ上院議員(共和党)を称賛した。

ハガティ議員はその後のX(旧ツイッター)の投稿で、「米国で初めて暗号資産関連の法案が法律として成立した。米国のイノベーション、リーダーシップ、未来にとって大きな勝利だ」と投稿した。

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編集=上田裕資

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