「セフォラ・キッズ」ブームの恩恵
ここ数年のEveredenの成長は、プレティーンの子どもたちがスキンケア製品を試し、購入し、SNSでそれを友達に自慢するという現象と並行して進んだ。美容製品専門店チェーン「セフォラ」の2023年の年次報告書によれば、同社の9歳から12歳の顧客数は過去5年間で倍増しており、2024年の世界の子ども向けスキンケア市場の規模は推定約16億ドル(約2336億円)とされている。
「当社のブランドは、複数カテゴリーにまたがり、複数の世代を顧客としているという、この市場では希有な存在だ。単一のSKU(最小管理単位)が売上の20%以上を占める製品は1つもない。ただ1つのヒット製品に頼り切っているということはなく、すべてのカテゴリーに看板プロダクトが存在する」とホーは語る。
Everedenは、いわゆる「セフォラ・キッズ」ブームの恩恵を受けてはいるものの、ここ最近の成長は、TikTokの影響を受けた子どもたちに直接後押しされたのかというと、必ずしもそうではない。Everedenは、現時点ではセフォラやウルタといった米国の大手小売店には進出していないからだ(もっとも、ホーは今年中にそうした大手との提携を実現させたいと考えている)。
「アルファ世代」という新たな市場
Everedenの成長はまた、Drunk Elephant(ドランク・エレファント)やLaneige(ラネージュ)のような高級スキンケアブランドに幼い子どもたちが関心を持ち始めた時期とも重なっている。これらブランドには、皮膚科医が「若い肌には有害になり得る」と指摘することの多い、エイジングケア成分やピーリング成分(角質除去化学物質)が含まれている。
Everedenの製品の価格は、一般的なスキンケア製品と比べれば高額ではあるが、子どもたちが興味を寄せる成人向け高級ブランドに比べれば手頃なものだ。たとえばDrunk Elephantの50ml入りの保湿クリームは69ドル(約1万円)だが、Everedenの同等品はその半額以下の28ドル(約4000円)だ。
Drunk Elephantの売上高は、2019年に資生堂に買収された当時に1億2000万ドル(約175億円)とされていたが、2024年には前年比で65%も売上が減少した。これは、同ブランドが子どもやツイーン層の人気を獲得した一方で、本来の顧客だった成人層を失ったことなどが指摘されている。
「いまのところ、この分野で特に注目を集めているブランドは見当たらない」とモーニングスターのスーは認める。「大手のパーソナルケアやビューティブランドが研究を進め、製品開発に取り組んでいると考えるのが自然だが、この市場はあまりにも特殊でニッチだ」。
スーはまた、Everedenが課題に直面する可能性があると述べている。製品開発に活用できるほどの十分な消費者データがまだ存在しないかもしれないからだ。また同時に、SNSを通じて子ども世代の消費行動を把握しようとするチャンスが、各社に与えられていると指摘した。
アルファ世代のニーズに応えるブランド戦略
「どの世代も前の世代より早く成長している。アルファ世代はソーシャルメディアの中で育ち、みんな8歳からスマホを持っている」とホーは語る。
EveredenのTikTokアカウントには、50万回以上再生されているピン留めの動画がある。そこでは、6歳ほどの2人の子どもがEveredenのクリームを顔に塗り、同じようなコンテンツで数百万ドルもの大金を稼ぐ大人のインフルエンサーたちの真似をしている。カメラの前でごく自然にポーズを取る幼い子どもたちの姿は、どこか不気味な印象すらある。しかし、その動画のコメント欄は「その製品を送ってくれないかな?」といったリクエストでいっぱいだ。


