経営・戦略

2025.07.27 08:00

「アルファ世代」を魅了し年商150億円、キッズ向けスキンケア「Evereden」を創った女性起業家

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起業家の両親のもと育った、“スタートアップ・ベイビー”

マレーシアの首都クアラルンプールで生まれたホーは、印刷会社を創業した起業家の両親のもとで育った。「人を雇う余裕がなく、私がお腹の中に居た間も母は自分で荷物を運んだりしていた。私は、会社の創業期と共にお腹の中で育った、文字通りの“スタートアップ・ベイビー”だった」と彼女は語る。

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10代の頃、ホーは米国東部のアイビーリーグへの進学を思い描いていたが、ある日、大学のウェブサイトに載っていたカリフォルニアの晴れたキャンパスの写真に惹かれ、スタンフォード大学を目指すことにした。「私が初めてアメリカに来たのは、大学に通うためにサンフランシスコの空港に降り立った時だった」と彼女は振り返る。

スタンフォードで経済学を専攻した彼女は、1年目の学期に、リクルーティングイベントでウォール街大手の採用担当者に気に入られようと必死になる同級生たちの姿を目の当たりにした。そして、その数年後の2013年に、彼女はマンハッタンの名門のゴールドマン・サックスに入社し、数年間働いた後に資産運用会社のオークツリー・キャピタルに転職した。

ウォール街で見た、美容業界の問題

そして同社在籍中にホーは、自身が担当していた大手美容ブランドの問題に気付き始めた。それは、健康リスクの未開示をめぐる数十億ドル(数千億円)規模の訴訟、似たような直販ブランドの乱立、小さな品質問題が常に黙殺される業界の体質など多岐にわたる。

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「いくつかの製品で見られた誠実さの欠如や配慮のなさは、私を不快にさせた。消費者の一人として、美容製品の愛用者として、そして敏感肌で育ってきた者として、見過ごせなかった」とホーは振り返る。「転機になったのは、マレーシアの友人たちが家庭を持ち始めて、『クリーンで安全だ』とされている米国大手ブランドの製品を持ち帰ってほしいと頼んできたことだった。多くのブランドの投資家だった私は、企業が主張するほど誠実ではないことを知っていた」。

名門大の医師をチームに加えて起業、科学的信頼性を築く

その後、プレミアムスキンケア市場に大きな空白があると考えたホーは、2017年にオークツリーを退職して、後にEveredenとなる家族向け高品質スキンケアブランドの立ち上げを決意した。彼女は、製品の処方開発に協力してもらうため、全米の一流医療機関に所属する50人の皮膚科医に提案書をメールで送った。

その中の1人、スタンフォード大学医学部小児皮膚科部長のジョイス・テン医師が、直接プレゼンするよう彼女を招いた。重度の湿疹に苦しむ娘を持っていたテン医師はホーの構想に魅了され、まもなくEveredenの最高科学責任者に就任。のちに、ハーバード大学医学部に勤める医師であり母親でもある2人の女性もチームに加わった。

米国では、クリーム・ローションなどのスキンケア製品、ヘアケア製品、石鹸といった衛生向け製品を含む広義の「化粧品」は市場に出る前にFDA(食品医薬品局)の承認を必要としないが、日焼け止めや市販の湿疹治療薬といった何らかの効能をうたう製品は承認が必要だ。Everedenではそうした一部製品ではFDA承認を取得しており、その他の全製品についても、医師チームの監修により「安全性」や「臨床的にテスト済み」といった表記が可能になっている。

次ページ > 製品ラインの拡大と成長を顧客の声が導く

編集=上田裕資

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