世界最大級の企業による決算発表が迫る中、S&P500種株価指数とナスダック総合指数は米国時間7月21日の取引で過去最高値を更新した。両指数はここ数週間で相次いで記録を塗り替え、AI関連銘柄の勢いが今後の相場をさらに押し上げるとの見方もある一方で、投資家の楽観は長くは続かない可能性があると警鐘を鳴らす声も出ている。
S&P500は21日午後に前日比0.6%以上上昇し、日中最高値となる6336ポイントを記録した。ナスダックも一時0.8%近く上昇し、2万1077ポイントという日中の最高値を付けたのち、いずれもやや上げ幅を縮小して取引された。
両指数の上昇は、「マグニフィセント・セブン(Magnificent Seven)」と呼ばれる銘柄群の好調に支えられた。具体的には、アルファベットが前日比2.3%、アマゾンが同1.2%、アップルが同1%の上昇を見せたほか、ベライゾン・コミュニケーションズ(同4.8%高)、クアルコム(同3%高)、ブロードコム(同1.8%高)などの銘柄も相場を押し上げた。
ゴールドマン・サックスは今月初めに出したレポートの中で、S&P500は年末までにさらに4%上昇し、6600ポイントに達するとの見通しを示している。これはモルガン・スタンレーのアナリストが予想する6500ポイント(約2.5%の上昇)をわずかに上回る。一方で、JPモルガン・チェースのエコノミストは、S&P500が年末までに5.3%下落し、6000ポイント前後の値をつけるとの予測を立てている。
最も強気な見方を示しているのが、ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズの米国株チーフ・ストラテジストを務めるクリストファー・ハーヴィーだ。ブルームバーグのインタビューで、彼は年末のS&P500が7007ポイントに到達すると予測しており、これは現在から約11%の上昇に相当する。彼は「AIによる長期的な構造的成長トレンドが続く」との認識を示している。
一方、エバーコアISIのチーフ・エクイティ・ストラテジストであるジュリアン・エマニュエルは、より慎重な見方を示している。彼は週末に発表したレポートの中で、S&P500は今後数カ月で最大15%下落し、年末には5600ポイント近辺まで落ち込む可能性があると述べている。
エマニュエルは、最近の強気相場には「投資家のFOMO(取り残されることへの恐れ)が強く表れていた」と分析し、現在の株価は「今後も良いニュースが続くという期待を織り込みすぎている」と指摘する。関税に関するポジティブなニュースや、予想を上回る米小売売上高などの経済指標は、すでに株価に反映済みだと述べている。
一方、ファクトセットによれば、S&P500は年末までに5.4%上昇し、6678ポイントに到達するというのがアナリストのコンセンサスである。
ウェルズ・ファーゴのハーヴィーは「今のS&P500は25年前とはまったく異なる。ファンダメンタルズははるかに良好だ」とも述べている。彼はエヌビディア、マイクロソフト、アマゾン、アップル、メタといったマグニフィセント・セブンの銘柄が、「より成長志向で、よりテクノロジー寄り」になっており、生産性と経営の質も向上していると評価している。こうした企業が第2四半期の決算発表を通じて指数を押し上げていくとハーヴィーは見ており、その勢いはトランプ関税による悪影響にも耐えうると予測している。彼は「私たちはトランプ1.0をすでに見た。彼のスタイルは、極端なところまで行ってから戻ってくるものだ」と語っている。
ファクトセットによると、S&P500の予想株価収益率(PER)は現在22.2倍であり、過去5年平均の19.9倍や過去10年平均の18.4倍を上回っている。PERとは、株価を1株あたりの純利益で割ったもので、投資家の期待値を測る目安となる。チャールズ・シュワブによれば、PERの平均レンジは16〜20倍とされており、現在の22.2倍という数値は、投資家が株価をやや割高に評価している可能性を示唆している。



