サイモン:来日中、「数独」を生んだニコリという素晴らしい会社の方々と会うことができました。手作りのパズルを作っているニコリは、私たちがYouTubeチャンネルを始めたきっかけです。「数独ソルバー(Sudoku Solver)」などの解答生成ツールは、ニコリ社の定番の難解な数独パズルを解くことはできても、その解き方が信じられないほど非人間的です。見ていて面白くありません。
人が設計したパズルには「これは美しい!」と感嘆せずにいられない、見事な論理の断片が内包されています。人間なら、「9行1列に1を当ててみよう。うまくいかないな。次は2を当ててみよう」とは考えないでしょう。AIに、人間の思考なしで美しい解決策を見つけるよう教えることができるか━━。これこそが、私たちが到達しようとしている高みなのです。
AIにも人間のように解けるはずです。充分なデータと、訓練された巨大なニューラルネットワークがあれば、AIを人間に近づけることができるはずです。それができれば、個人的にはワクワクしますね。
ライオン:サイモンが大ファンだと知っていたので、ニコリ社にアプローチしました。サイモンは、ニコリ社の作る「数独」がいかに美しいかについて動画を投稿しています。そして、私がニコリ社にパズルの作成をお願いした理由は、まさにサイモンが説明した理由と同じです。ナンバーパズルをコンピュータで作ることはできますが、全然面白くないのです。
コンピュータは美しい方法で解けません。だから、美しい数独を作成することはできないのです。なので、ベンチマークには一般的な数独を入れたいと思っていましたし、それも人間が作ったものでなければならないと思っていました。AIがそれを解くロジックと美しいアイデアを見つけなければいけませんから。そういうわけで、ニコリ社にご協力をお願いしたのです。
━━現時点では、「Cracking The Cryptic」チャンネルにもナンバーパズルを提供している有名なパズル作家のMarty Sears(マーティー・シアーズ)氏が作成した、Sakana AI向けのオリジナル新作「パリティフィッシュ」をAIが生成するのは難しい、と。
ライオン:ええ。それでも解けるレベルのAIを作れたら、生成できるようになるかもしれません。そうなったら興味深いですね。
マーク:AIは何百万ものパズルを生成できます。パズルの難易度をテストし、評価することもできます。難易度が極めて高いAI生成パズルが人間の視点から見て興味深いこともあります。でも、たいていは似たり寄ったりなのです。その点、人間がデザインしたパズルは戦略が似ることはあっても、別々の方法で組み合わせています。ニコリ社には一流の「数独」を作り出す作家たちがいるので、解く楽しみを感じられるはずです。


