AI

2025.08.06 08:15

Sakana AIとパズル系YouTuberの協業が示すAI開発のかたち

左からCracking The Crypticのマーク・グッドリフ、Sakana AI共同創業者兼CTO(最高技術責任者)のライオン・ジョーンズ、Cracking The Crypticのサイモン・アントニー

━━2020年5月6日の動画に、マークさんの興味深いコメントがあります。「『なぜ難しいことができるのに、私でもわかるような簡単なヒントを見逃してしまうのですか?』という質問をよく受けます。それは、私たちがあらゆる種類のヒントを探しているからです。その瞬間はあなたに見えているものが見えていないかもしれません……〔中略〕……どこかの時点で私たちも追いつきますよ。私たちは機械ではありませんから」。5年も前のコメントですが、数独を解けるほど“機械(AI)”が進歩を遂げるとは想像できなったのでは? 

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マーク:まったく想像していませんでしたね。コメント自体は予防線を張ったものですが、真実でもあります。動画のコメント欄には、「パズルのこんな簡単な部分がわからなかったなんて信じられない」という書き込みがしょっちゅうあります。私が伝えたいのは「生中継でパズルを解こうものなら、何かしらの見落としはある」ということです。視聴者は私が見逃したものを見つけたかもしれませんが、同時にその視聴者も、他の何かを見落としている可能性があるわけです。私たちは、そのパズル内の特定のロジックに集中しています。それで他から注意が逸れてしまうこともありますが、それは私たちがコンピュータではないからですね。ふつうの人間なのです。

━━それにもかかわらず、あなたがたが手順を優雅に説明されるのを見て敬服せずにいられません。サイモンさん、このYouTubeチャンネルを始めた頃、ご自身の思考の流れを説明するうえで何か苦労されたことはありましたか?

サイモン:特にはなかったように思います。じつは、ずっと教師になりたいと思っていました。私は小さい頃から、他の人が難しいと思うものについて細かく感じ取れていた気がします。なので、理解できるよう力になりたいと思っていました。それができているならうれしいですね。秘訣を挙げるとすれば「共感力」でしょうか。

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マーク:当初、視聴者はパズルで最も難しい解き始めにしか興味がないものだと思っていました。そこで最初の部分だけ解いてみせて、終わりを割愛したり、早送りしたりした動画を投稿しました。冗長で退屈なので観たくないだろう、と。すると、何百人もの視聴者から「パズルを解く工程すべてを見せなきゃ意味がない。最後までやり遂げないと!」というコメントが殺到したのです。

サイモン:チェスに似ている気がします。終盤の局面で有利な状況にあっても、まだある程度のスキルの見せ場があります。圧倒的な技量は必要ないかもしれませんが、それでもやり遂げるのを見たいはずです。あきらめて投了、というのを見たいわけではないのと同じでしょう。

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文 = 井関庸介 写真 = 能仁広之

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