━━メールを受け取ったとき、サイモンさんとマークさんはどう思いましたか?
サイモン・アントニー(以下、サイモン):不思議なことに、少しワクワクしました。二人ともしばらく前からAIに興味をもっていたからです。私は大学時代にデミス・ハサビスと一緒でした。彼はグーグル傘下の「DeepMind(ディープマインド)」共同創業者兼CEOで、そのキャリアを畏敬の念をもって追いかけてきました。もっとも、こうしたかたちでAIと接点をもつことになるとは思ってもみませんでしたが。
でもライオンのアイデアを聞いた瞬間、パズルが時々そうであるように、理にかなっているように思えたのです。なんて言えばいいでしょうかね……。要するに、「ロジカル(論理的)」に感じられたのです。仮にAIに人間の思考を見せることができれば、AIはそれを真似ようとするだろうというのは「論理的」に感じられます。しかし同じようでありながら、異なるものですよね?
それから、「人間のリアルな思考をAIに学習させるなら何がいいんだろう。政治討論とかか?」と思いました。とはいえ、政治討論でどちらが優勢かをコンピュータに教えるのは難しい。それなら、「チェスはどうか?」と考えました。インターネット上の主要なチェス大会は実況解説付きです。
でも、それはプレイヤーが何を考えているかを解説する人たちの視点であって、私たちのように、考えていることを自分自身で話すのとは違います。それに生中継でパズルを解くと、間違えたり、論理的でなかったりします。それが「人間」というものなのです。
マーク・グッドリフ(以下、マーク):サイモンのコメントは極めて妥当に思えますね。私たちは数独のほかにも、難解な手がかりしかないクロスワードパズルも解きます。AIがそういった種類のクロスワードパズルを解けないことはよく知られています。そういうパズルは言語構造や法則が通用しないからです。なので、AIは対応できません。想定外だからです。
その点、数独や、私たちが解く数独の変種は厳密にロジカル(論理的)です。そして、私たちはそのロジック(論理)をたどろうとしています。私たちの動画が人気の理由の一つに、視聴者が、私たちが何かに気づき、ひらめきを得て、いわゆる「アハ体験」を迎える瞬間を目撃できることがあります。それも生中継です。発見がどのようにして起きるのかをAIも学べます。


