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2025.07.31 11:00

起業家の原点に立ち戻る──WEOYモナコ大会に見る「善の連鎖」

(写真:WEOY公式)

(写真:WEOY公式)

「この場所に毎年戻ってきている。それは、自身をチューニングするためなんです」

モナコ公国の五つ星ホテル、ホテル・エルミタージュ モンテカルロのテラス席。その男性は、ベルエポック調の装飾が施された建物から一望できる、アジュールと表現される鮮やかなブルーが広がる地中海を眺めながら教えてくれた。そこだけ切り取ると、男性がリトリートのために、日常の喧騒から離れ、心身のリフレッシュ求め、ここモナコに戻ってきていると思うかもしれない。しかし、そうではない。「この場所」とは、彼のような「起業家」が、チューンアップするために戻らなければならない特別な理由があった。

WEOY公式写真
(写真:WEOY公式)

世界43カ国の起業家たちがモナコに集結

EYが主催する起業家表彰プログラム、EY Entrepreneur Of The Year™️。1986年にアメリカで始まり、いまや世界約80カ国・地域で実施される優れた起業家を表彰するイベントだ。かつては、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスや、Google創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンもアメリカの代表として受賞したことで知られている。そして、各国で選ばれた代表の中から「世界一の起業家」を決める国際大会WEOY=World Entrepreneur Of The Year™️が、毎年6月にモナコで開催されている。

今年2025年も6月3日から5日までの日程で開かれ、世界43カ国からナショナル・ウィナーたちがこの地に集結した。彼らは世界一の座を目指し、ジャッジたちとの面接審査や各国代表らとのラウンドテーブルなどに臨み、自身のアントレプレナーとしての思いやパッションを共有し合った。

WEOY公式写真
(写真:WEOY公式)

「善を促進する力(Force for good)」の大切さ

審査するのは、かつて自身たちもこの舞台に立った起業家たちだ。今年は日本からエアウィーヴの会長 兼 社長の高岡本州が審査員として参加。彼もまた、2016年に日本代表となり、世界に挑戦したひとりである。

審査のクライテリアは4つ。「Entrepreneurial Spirit(起業家精神)」「Purpose(パーパス)」「Growth(成長)」そして「 Impact(影響力)」。これら長期的価値4つの基準に照らし、それぞれのアントレプレナーの功績が評価される。

冒頭の男性は、かつての大会でアメリカのナショナル・ウィナーだったという。「自身の会社の経営では、勿論、事業を拡大させるために尽力してきました。しかし、最も大切にしてきたのは社会にどれだけ貢献できるか」。売上や利益の拡大のみにフォーカスされがちな資本主義の中において、ややもすると、氏の指摘する「どれだけ人を豊かにするか」、「より良き社会の創造のために寄与できるか」という視点は後回しになってしまいかねない。だからこそ、このWEOYに立ち戻ることで、自分自身の信念や起業家の本分としての本懐を再確認するために毎年モナコを訪れるのだという。

WEOY公式写真
(写真:WEOY公式)

確かに、この大会は、世界にあまたある起業家やスタートアップの人たちを表彰するイベントの中において、事業性や収益性のみを第一義とするのではなく、「善を促進する力(Force for good)」を大事にしてきているように見える。これまでの世界一に輝いたウィナーたちを振り返っても、貧困で家を持つことが一生叶わぬ願いだと思っていた人々に家を持つ喜びを与えてきた建設企業の創業者や、自身の出自である難民の経験を活かし、食へのアクセスが困難な方たちへ食料支援をし、安全かつ手頃なタンパク質を世界に提供する企業を起ち上げた起業家など、経済と社会性の両輪にアプローチしてきた人ばかりだ。

元アメリカのウィナーはいう。「この大会そのものもそうなのですが、ここに集まる起業家たちは皆、自分たちの事業を超えて、視座が社会や地球に向いている。そんな彼らと議論すると、自分自身の姿勢は正しかったんだと答え合わせができるんです」

WEOY公式写真
(写真:WEOY公式)

ルール上、詳しい話は聞き出せなかったものの、筆者が審査員との面談を終えた各国代表や、ジャッジたちにヒアリングをしてみても、審査においてジャッジが気にしているのは、起業家として自身が持つ能力や知見、資金や情熱をいかに世のために使い続けることができるかという本気度のようにも見える。

日本代表は最年少の挑戦者、タイミー小川嶺

そんな中、今年、日本を代表し、この大会に挑んだのは日本代表史上、そして、今大会の各国代表の中でも最年少であった28歳のタイミー代表取締役、小川嶺である。

「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービスを展開する当社は、2018年のローンチから7年弱でワーカー登録数1,100万人以上を獲得。日本最大の課題のひとつ、労働生産性の低さの要因とも指摘される労働需給のミスマッチの解消に取り組んでいる。

WEOY公式写真
(写真:WEOY公式)

「WEOYに参加し、世界で戦えるという確信が持てました」、そういう小川の表情からは、明らかに次なる大舞台にあがる覚悟が決まったように見えた。

実際、このモナコに同伴していたタイミー取締役CPOの池田俊もこう評価する。「最初は小川も様子見だったと思います。しかし、自分から英語も気にせず各国代表たちに積極的に話しかけにいくなど、途中からスイッチが入ったのがわかった。一番そばで小川の成長を感じられたのはとても嬉しかったです」

WEOY公式写真
(写真:WEOY公式)

実際、小川の変化は周囲の人たちにも頼もしく映っていたようだ。各国代表が集まるラウンドテーブルの席でも、流暢に英語を操る人が多い中、決して得意ではないという英語力で果敢に自身の思いを語っていた。最後は誰も臆してコメントしない中、最年少の代表らしく、恐れを知らず、率先してマイクを取り、皆の前で堂々と夢を語るその姿に、ある審査員は心打たれたと評価していた。

WEOY公式写真
(写真:WEOY公式)

また、食事会やパーティーの最中も、意欲的に交流を試み、各国代表や審査員らと友好を深めるその姿は、完全に日の丸を背負う、日本代表そのものの姿であった。

「『どこから来たのか?』と聞かれて、日本からだと告げると、好感触で受け取ってもらえる。これは、先輩たちが築いてくれたブランドです。日本にいた時は気付けなかったその土台を、僕自身も、そして、日本を代表する企業としても意識していきたい」。

しかし、そう意気込む日本代表は、いかにもZ世代らしく、各国の代表らと軽やかに、かつフラットに、儀礼にとどまらない実のある友情と信頼を築いていたのも印象的であった。

WEOY公式写真
(写真:WEOY公式)

そうした世界を牽引する起業家たちの中で、今年、世界一に選ばれたのはスウェーデン代表、Yubico創業者であるスティーナ・エーレンスヴァルドであった。デジタル・アイデンティティの価値がこれまでになく重要視される時代、彼女は長きにわたり、オンライン・セキュリティの追求において影響力を示してきた。2007年に設立されたYubicoは、オンライン・アイデンティティにおける脆弱性に常に真正面から取り組み、Yubicoが開発した「Yubikey」は、1回のタップで強力な二要素認証、多要素認証、パスワードレス認証を実現し、ユーザーが安全にデジタル世界へアクセスすることを可能にした。また、彼女はSIROS(セキュア・アイデンティティ研究機構)財団のリーダーとしても、次世代のデジタル・アイデンティティ・プラットフォームの構築を使命とし、夜空で明るく輝く恒星「シリウス」に由来する名の通り、デジタル世界を進むユーザーの道標になるべく活動している。

WEOY公式写真
(写真:WEOY公式)

「パッションが際立って強かった」と一部の審査員が指摘していたスティーナ。そんな彼女は、世界の起業家たちを前にこうコメントした。「自分の心から気になる現実の問題を見つけ、それを自分らしい方法で解決しようとする勇気を持ってほしい。世界にポジティブな影響を与えるという意志を持ち、自分の内なる声に耳を傾け、大きなビジョンを描いて——あとはただ行動あるのみです」

2025年WEOYの閉会にあたり、最後に日本代表の小川にこの会を通じての感想と思いを聞いた。

「自分たちは、日本の最も大きな課題である少子化・労働力不足という社会課題をタイミーを通じて、解決したいと取り組んできました。しかし、各国の代表たちとのディスカッションを通じ、それがこれから世界で起こり得るグローバル課題であることを再認識しました。だからこそ、これから僕たちが世界にできることは沢山ある。それをこのWEOYでグローバルトップたちに出会ったことによって、インスパイアされ、人脈もコネクションもでき、その世界の課題解決への近道ができたのはすごく大きかったと思います」

また、笑顔でこうも付け加えた。「そして、この世界大会にジャッジとして戻ってきたいという夢もできました」。

WEOYという世界を代表する起業家たちの間で紡がれる、こうした社会へ向けての「善意の連鎖」。それは、ここモナコを結節点としながら、これからも未来をより良い方向へと動かし続けていくのだろう。

WEOY公式写真
(写真:WEOY公式)

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