北米

2025.07.22 14:00

30年続く米深夜番組『レイト・ショー』の打ち切り、「トランプ批判」が原因との見方

深夜トーク番組『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』を来年5月で終了させるとの発表を受けて、本拠地であるエド・サリバン・シアターの前でデモをする人々。(Photo by Lokman Vural Elibol/Anadolu via Getty Images)

深夜トーク番組『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』を来年5月で終了させるとの発表を受けて、本拠地であるエド・サリバン・シアターの前でデモをする人々。(Photo by Lokman Vural Elibol/Anadolu via Getty Images)

米CBSテレビは7月17日、人気の深夜トーク番組『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』を来年5月で終了させると発表した。これにより、コメディアンで政治コメンテーターでもあるコルベアを軸にした、30年にわたる人気番組がその歴史に幕を下ろすことになる。

なぜCBSは、30年も続く人気番組を打ち切るのか?

CBSは17日の声明で、この番組がコルベアとの契約満了に伴い、2026年5月に終了すると発表した。この決定は、番組の視聴率の好調さや人気を考えると、多くの人にとって意外なものだ。

2025年第2四半期の視聴データによると、『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』は午後11時35分の時間帯でトップの視聴率を獲得し、41本の初回放送の平均視聴者数は約242万人だった。さらに、深夜番組としては唯一、第1四半期から第2四半期にかけて1%の視聴者数の伸びを記録していた。また、ニールセンのデータを引用したLate Nighterによれば、18〜49歳の年齢層では21万9000人が視聴していた。

CBSは、この番組の打ち切りが「深夜番組を取り巻く厳しい状況を背景とした、純粋に財政面からの判断だった」と説明し、「視聴率や番組の内容、パラマウント(CBSの親会社)を取り巻くその他の問題とは無関係だ」と発表した。

「この決定は、番組のパフォーマンスや内容、あるいはパラマウントで起きている他の問題とはまったく無関係だ。スティーヴン・コルベアと彼の素晴らしいチームの才能に対する私たちの敬意と愛情は、この苦渋の決断をさらに困難なものにした」と幹部らは述べた。

深夜番組の減少だけでなく、広告収入の大幅な減少に直面

またニューヨーク・タイムズ紙は、この打ち切りが深夜番組全体にとって困難な時期に行われたと報じている。近年は、深夜番組の数は減少傾向にある。それに加え、このジャンルは広告収入の大幅な減少にも直面している。『ザ・デイリー・ショー』のトレバー・ノアが2022年に降板したのに続き、その翌年にはジェームズ・コーデンが『レイト×2ショー with ジェームズ・コーデン』を降板し、テイラー・トムリンソンの『アフター・ミッドナイト』も今年終了した。

Guidelineによると、2018年にネットワークの深夜番組が生み出した広告収入は4億3900万ドル(約645億円)だったが、昨年には2億2000万ドル(約323億円)にまで落ち込み、7年で50%の減少となっている。

コルベアは、トランプ大統領への和解金支払いを番組内で批判

同番組の打ち切りが、パラマウントと映画制作会社スカイダンスとの合併に対する政府の審査や、最近のトランプ大統領への和解金支払いと関係しているのではないかという疑問も浮上している。

パラマウントは現在、スカイダンスとの数十億ドル(数千億円)規模の合併に向けた交渉の最終段階に入っており、この取引にはトランプ政権の承認が必要だ。同社はまた、昨年放送された『60ミニッツ』のカマラ・ハリス前副大統領へのインタビューを巡って、トランプ大統領から訴えられていたが、1600万ドル(約24億円)を支払って和解に応じた。この動きについて、コルベアは番組内で批判を展開していた。

「こうした現職の政府関係者との複雑な金銭的和解には、法律の世界での正式な呼び名がある。私の考えでは、それは『巨額の賄賂』だ。パラマウントのオーナーたちは、我々のネットワークを新しいオーナーであるスカイダンスに売却するために、トランプ政権の承認を得ようとしている」と、コルベアは番組冒頭で語った。

またコルベアは、「ネットワークの新しいオーナーがトランプに取り入ろうとしている」という報道に触れつつ、そのせいで自分や番組に圧力がかかっているかもしれないと、冗談交じりに語った。

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編集=上田裕資

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