国際情勢が不安定化するなか、旅行先の安全性を把握しておくことは有益だ。オーストラリアに本拠を置く国際シンクタンク、経済平和研究所(IEP)は毎年、各国の安全性に関する「世界平和度指数」を発表している。2025年のランキングでは、以下の5カ国が「世界で最も安全な国」とされた。
1位 アイスランド
2位 アイルランド
3位 ニュージーランド
4位 オーストリア
5位 スイス
これら上位5カ国はすべて、強固な制度や汚職率の低さ、適切に機能する社会基盤を備えており、旅行先としても理想的で、高い評価を得た。6位以降は、シンガポール、ポルトガル、デンマーク、スロベニア、フィンランドが続いた。
一方、「世界で最も安全でない国」とされたのはロシアだった。同国がこのランキングで最下位となったのは今回が初めて。同国に続き、ウクライナ、スーダン、コンゴ民主共和国、イエメンが下位5カ国を占めた。
英国は昨年よりわずかに順位を上げ30位となった一方で、米国は128位と低迷し、モザンビーク、南アフリカ、ケニアを追う形となった。調査では、銃による暴力と政治的緊張により、米国の殺人率が西欧諸国の平均を6倍上回っていることが明らかになった。
西欧と中欧は最も平和な地域であり、ランキングの上位10カ国のうち8カ国が同地域に位置している。他方で、同地域の平和度も低下しつつあり、過去4年間その傾向が続いている。世界で最も平和でない地域は、中東と北アフリカだ。
2020年当時はアイスランドが1位で、ニュージーランド、ポルトガル、オーストリア、デンマーク、カナダ、シンガポール、チェコ、日本、スイスが上位10カ国を占めていた。この調査は毎年実施され、世界で最も安全な国々の多くが、訪れるべき旅行先ランキングにも定期的に登場していることが指摘されている。
当然のことながら、世界が平和でなくなると経済の不安定性が増し、世界の国内総生産(GDP)が大幅に減少する。人々が戦争や自らの生活に不安を抱いていると、芸術を創造したり、家を建てたり、事業を営んだり、訪問してきた家族を迎え入れたりすることはできない。



