IEPを設立したスティーブ・キレリア会長は「私たちは皆、休暇中にリラックスしたいと思っていて、暴力のない国ほど最適な場所はない。これが、最も平和な国の上位10カ国が世界でも最も人気のある観光地でもある理由の1つだ」と説明した。その上で、「本調査結果は、平和が国民の健康や福祉の向上だけでなく、大きな経済的利益をもたらすことを各国政府に示すはずだ。次の旅行先には平和な国を選ぶことで、実際に『行動で示す』のはいかがだろうか?」と問いかけた。
平和を失いつつある世界
2020年の報告書は、新型コロナウイルスの世界的な流行による経済的影響が政治的安定性に悪影響を及ぼし、長年にわたる社会や経済の発展を阻害する可能性があると指摘していた。最も平和な国と最も平和でない国との間の格差が拡大し続けているとしたほか、気候変動による難民も増加しており、世界の安全保障が脅かされていると警鐘を鳴らした。こうした記述はすべて、事実によって裏付けられている。
IEPは2023年当時、世界の紛争の数が過去15年間で最高水準に達していると報告していた。今年の調査でもこの傾向は続いており、「大きな紛争の前兆となる数多くの要因が、第二次世界大戦以降最多の水準にある」とされた。英政府は最近、世界の陸地の15%を「渡航を勧めない」地域に追加した。
報告書は、地政学的緊張の高まりと紛争の増加を受け、国防を強化する国が増えていることにも触れたほか、従来の同盟関係が解消されつつあり、経済の不確実性が高まっていると指摘した。これらはいずれも、旅行者にとって理想的な世界とは言えない。
世界では現在、59件以上の国家間の紛争が進行中で、これは第二次世界大戦以降のどの時期よりも多く、昨年と比べても3件増えている。紛争の国際化とともに解決も困難になっており、国境を越えた紛争に巻き込まれている国は78カ国に上る。IEPのキレリア会長は、2025年には「紛争による死者の増加や地政学的分裂の加速、社会的結束の崩壊によって『大規模な分断』が起こり、冷戦終結以降見られなかった世界秩序の根本的な再構築が促されるだろう」との見方を示した。


