【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

政治

2025.07.26 12:00

外交か軍事力か? 核兵器の拡散を防止する上で最も効果的なのは

ロシアのRS24ヤルス核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル。2024年5月5日撮影(Contributor/Getty Images)

一方、キューバ危機は重要な外交的成果を生み出した。中南米諸国は1967年、核兵器の開発、保有、実験、配備、輸送を禁止する初の核兵器非保有地帯を規定するトラテロルコ条約に調印した。現在では、大洋州、東南アジア、アフリカ、中央アジアの4つの地域にも同様の区域が設置されており、世界的な核不拡散活動の中核を成している。

advertisement

もう1つの転機は、1987年に当時のロナルド・レーガン米大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長との間で中距離核戦力(INF)全廃条約が締結された時だった。これにより、特定の種類の兵器が完全に排除され、双方による継続的な監視や実地調査を含む検証体制が確立された。

INF全廃条約は大規模な軍縮が可能であることを証明し、冷戦終結後もこの取り組みが推進された。1991年に結ばれた戦略兵器削減条約(START)を皮切りに一連の条約が締結され、2000年代までに世界から核兵器の85%以上が排除された。冷戦末期の1986年のピーク時には、世界の核兵器の数は7万個を超えていた。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は現在、その数は約1万2200個にまで減っており、実際に配備されているのは約4000個だと推定している。これは外交の大きな成果であり、この間に4カ国が核兵器を放棄し、新たに取得したのは北朝鮮だけだという事実が、その意義を強調している。

核の未来

残念ながら、2010年に当時のバラク・オバマ米大統領とロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領が合意した新戦略兵器削減条約(新START)は、ロシアによって一時停止されている。世界の全核弾頭の87%を保有する両国の間には現在、有効な核条約は存在しない。

advertisement

さらに、中国は保有する核兵器の数を2020年の約300個から35年までに1500個に増強する計画で、米国やロシアの水準に匹敵する勢いを見せている。インドやパキスタン、北朝鮮、そして恐らくロシアも核備蓄を増やしている。各国の首脳にとって、核軍縮に向けた外交を優先することがこれまで以上に重要になっているようだ。

では、話をイランに戻そう。6月の戦争がイランの核開発計画に与えた損害については、専門家の間でも評価が分かれているが、大多数は、イランが保有する兵器級にわずかに満たない高濃縮ウランの大量在庫が大幅に減少したとは考えていない。イランの核施設の再建に必要な能力が廃絶されたという証拠もほとんど存在しない。外交を放棄し軍事力に頼った米国は、イランとの信頼関係を損なった挙句、再び交渉の場に戻る必要に迫られている。

米国のジョン・F・ケネディ元大統領は1963年、世界の核兵器保有国の数が20カ国以上に急増するのではないかと懸念していた。当時、そのような増加の兆候は確かにあった。だが、それは決して現実のものとはならなかった。それが外交の力だ。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事