ロシア・ウクライナ戦争の戦場は過去3年の間にドローン(無人機)技術によって一変した。両軍は小型のドローンを大量に使用し、その性能も高度化してきているため、ドローンの攻撃を受けやすい大規模な機甲部隊を主体とした戦法は転換を余儀なくされた。いまでは双方とも以前より小規模な部隊編成を採用し、これらの部隊を散開させて運用することで、ドローンの攻撃をより攻撃を受けにくくしようとしている。
だが、ドローンがますます広範に使われるようになるなか、こうした比較的小規模な部隊もまたドローンで狙われるようになっており、兵士たちのほうはそれに対してほとんど防護手段を持たない。こうした状況に対応するため、ウクライナは現在、標準的なアサルトライフルから発射可能な対ドローン銃弾の生産に乗り出している。この新型銃弾はきわめて重要な時期に戦場に届きつつあり、ウクライナがロシアによる最新の攻勢を押しとどめるうえで重要な役割を果たすと見込まれる。
「ドローン狩り」用ライフル弾の仕組み
ウクライナの防衛技術イノベーションプラットフォーム「Brave1(ブレイブワン)」は6月30日、兵士たちが新型銃弾を使って小型ドローンを撃墜する様子を収めた動画を公開した。この弾薬は、ウクライナ軍でも広く使用されているCZブレンやM4など、北大西洋条約機構(NATO)規格のライフル用に設計された標準的な5.56mmカートリッジである。
Brave1 facilitated the development of anti-drone rounds, significantly boosting chances of hitting moving aerial targets like enemy FPV drones or Mavics. The goal is for every infantryman to carry this NATO-codified cartridges, enabling them to react quickly to aerial threats. pic.twitter.com/qBz8MzlBbi
— BRAVE1 (@BRAVE1ua) June 30, 2025
Brave1は技術仕様を公表していないものの、ウクライナの軍事メディアであるミリタルニーは、この銃弾は限定的ながらすでに実戦使用されていると報じており、仕組みについても解説している。それによると、この銃弾は発射後、5個くらいの高速のペレット(散弾)に分裂し、連射するとショットガン(散弾銃)のような弾の広がりが生まれる。ドローンに対する有効射程は50〜60mとされる。
Brave1の投稿によれば、ウクライナはこの特殊弾を装填したマガジン(弾倉)を各兵士に少なくとも1個支給すべく生産を拡大していく方向だという。これを装備すれば、個々の兵士は追加の銃など重い装備を持ち運ばずにドローンから防御できるようになる。ドローンを発見すれば即座にドローン専用弾のマガジンに交換し、目標を攻撃する態勢がとれる。



