1835年~2011年までの全期間にわたり、自転極が移動した経路の長さの合計は約113cmにおよび、うち約104cmの移動は20世紀に起きている。
すでに2023年には、地下水の使用に着目した同様の研究(Seo et al.)が米国地球物理学連合(AGU)の学術誌Geophysical Research Lettersで発表されていた。地下から汲み上げた水を別の場所に移動させることで、人間の活動によって膨大な水の質量が移動したことになるため、1993年~2010年の期間だけで地球は80cm近く東に傾いたと、AGUの解説記事に記されている。
気候変動に起因する氷床や氷冠の融解により、質量が極域から赤道域に移動することで、この影響がさらに増幅することが予想されると示唆する研究が、2016年に学術誌Science Advancesで発表されていた。
地球の極は通常、惑星の自然の揺動によって年間数mほど位置が変動するため、今回観測された変化が破滅的な結果を招く危険性があるわけではない。しかしながら、このような研究により、人間の活動が地球全体にどれほど深く影響を与えているかが浮き彫りになっている。
今回の論文「True Polar Wander Driven by Artificial Water Impoundment: 1835–2011」は、学術誌Geophysical Research Lettersに掲載された。
追加資料とインタビューはAGUによって提供された。


