イスラエルがダマスカスを空爆すると決めればそうできることは、16日の空爆どころか、内戦のはるか前から明白だった。まずもって、シリアの首都はゴラン高原からたった65kmほどしか離れていない。さらに、イスラエルは昨年12月にシリア南部に軍事プレゼンスを拡大させて以来、ヘルモン山の頂上を占拠しており、晴れた日にはそこからダマスカスを見渡せる。
それでも今回の空爆は、イスラエル空軍の到達可能範囲をあらためてまざまざと示すものだった。隣国レバノンでは、イスラエルは2024年9月、イスラム教シーア派組織ヒズボラに対して、イスラエル空軍の歴史上最も広範な空爆作戦を実施した。その際、ベイルートを難なく攻撃している。これはレバノンでの過去の戦争を踏まえると驚くべきことではないだろう。また、イスラエルは同月27日、ヒズボラを長年率いてきた指導者ハサン・ナスララを掩蔽(えんぺい)壕への空爆で暗殺してみせた。ナスララの死は、中東各地でイランが支援する武装組織の枢軸にとって間違いなく壊滅的な打撃になった。
2024年11月に停戦が成立して以降も、イスラエルはベイルート市内の目標に対する空爆を断続的に行っている。ベイルートで今年2月23日に行われたナスラッラーの葬儀の際には、イスラエル空軍の戦闘機が会場上空を低空飛行し、制空権を誇示した。
ダマスカスとベイルートはイスラエルから近いが、はるかに遠方の首都もイスラエルは攻撃している。5月には、イエメンで反政府勢力フーシ派の支配下にある首都サヌアの国際空港を爆撃し、駐機していた民間機をすべて破壊した。サヌアはイスラエルから2500km超離れており、作戦に参加した戦闘機は空中給油が必要になった。さらに言えば、米軍が今年、イエメンに対する短期間の集中的な空爆の際に経験したように、フーシ派は第5世代のF-35ライトニングIIステルス打撃戦闘機すら脅かす防空装備を保有している。
そして6月、イスラエルによるイラン空爆作戦があった。「ライジング・ライオン」と名づけられたこの作戦で、イスラエル空軍はイラン全域で迅速に航空優勢を確保し、イラン各地の軍事目標や核施設目標、政治目標を攻撃していった。有人戦闘機の損失は一機もなく、失ったのは数機のドローン(無人機)だけだった。


