生成AIの台頭以来、人々はこの新たなツールが雇用に与える影響を懸念してきた。そして今、企業のCEOたちが生成AIの影響を認め始め、解雇の件数も増加している。
「職を失うだけでなく、キャリアも終わる」
フリーランス人材のマーケットプレイス「Fiverr(ファイバー)」のミカ・カウフマンCEOは、4月のミィーティングの合間に、1200人の社員に向けて率直なメモを送った。「AIはあなたたちの仕事を奪いに来ている。いや、私の仕事さえも奪おうとしている。これは目を覚ませという警告だ」。
カウフマンはこのメモに、AIについての見解を記していた。AIはすべての人の能力を底上げするもので、簡単なタスクを誰でもこなせるようにし、難しいタスクの難易度を下げて簡単にする。不可能だった仕事を単に難しいものにすると彼は主張した。そしてAIツールは、無料で使えるため、誰もが同じ条件に立たされる。だからこそ、この変化に適応できない人は「職を失うだけでなく、キャリアも終わる」とカウフマンは指摘した。
Before it gets out somewhere else, this is an email I sent yesterday morning to my team. It applies equally to the freelance community pic.twitter.com/eLnFlJE9CZ
— Micha Kaufman (@michakaufman) April 8, 2025
「会社の中でもこんな声を聞いている。『なあ、僕らもあと2年も経てば仕事を失うのかな?』なんて開発者たちが話している」とカウフマンはフォーブスに明かした。「私は、ここではっきり言っておくべきだと思った。彼らの不安は気のせいじゃない、それは現実だとCEOの私が認めていることを伝えようと思った」。
大量採用の時代から少数精鋭の採用に
若く経験の浅いプログラマーの雇用は、すでに落ち込み始めている。スタンフォード大学の「人間中心のAI研究所(Human-Centered AI Institute)」のデジタルエコノミーラボの博士研究員、ルーユ・チェンによると、ChatGPTが公開された2022年以降に、18〜25歳のエントリーレベルの開発者の就業者数は、わずかに減少したという。彼らが仕事を見つけるのが難しいのは、単に経験が足りないからではない。「特別優秀なわけではない平均的な人材の雇用は、今後ますます減少する」とチェンは指摘している。AI時代には、ずば抜けて優秀な人材のみが優位に立てるという。
「我々は今、かつての大量採用の時代から少数精鋭の採用に移ろうとしている」とチェンは語り、企業は特定分野の専門家を雇うことに重点を置き始めていると説明した。「スーパースター人材は、より有利な立場にある」と彼は指摘した。
チェンとその同僚は、米人材サービス大手ADPが提供する大規模な給与データを分析し、生成AIが雇用に与える影響を調査した。その結果、初級開発者の雇用率の低下はごくわずかではあるものの、ここ約25年の間に高収入や安定したキャリアの象徴だったテック業界のエンジニア職に、かつてない変化が起き始めていることが見えてきた。



