自動化の限界と人間の価値の見直し
さらに、AIを用いた業務の自動化にも限界がある。Klarnaは昨年、自社のAIツールが顧客サービス担当者700人分の仕事をこなしていると発表した。しかしその1年後、同社は方針を転換したように見える。Klarnaは、人間の顧客サービス担当者の大規模な採用キャンペーンを明らかにした。
同社のCEOのシェミアトコウスキは、この新たな採用がAIからの後退を意味するものではないと述べている。彼によれば、新たに採用される人員は、これまで外部に委託していた高度な対応を担うことになるという。Klarnaの広報担当のクレア・ノードストロムは、「私たちは今でもAIに大きく依存しているが、すべてが自動化されているこの世界では、人間らしい体験の価値が高まっている」とコメントした。
同社の取り組みは、どの業務を人間が担うべきで、どの業務を機械に任せられるのかという課題が、まだ明確な答えを持たないことを示している。シェミアトコウスキは自動化の熱心な支持者としても知られており、その立場を証明するかのように、5月の第1四半期決算の発表には本人が登壇せず、自身のAIディープフェイクが業績を説明し、黒字をアピールしていた。
混乱の中でも新しいAI技術を学ぶなら、主体的に取り組む必要がある
一方、記事冒頭で挙げたFiverrのカウフマンは、「このような混乱の中においても、人々が学ぼうとしている姿勢が見られるのは良いことだ」と話す(彼によれば、FiverrはAIに関連するレイオフや採用停止を行っていないという)。彼は、社員へのメモの中で、希望者とAIに関する最新事情を話し合う「オフィスアワー」を設けると発表した。この取り組みに向けて彼は、50人分の会議室を予約したが、予想に反して250人が集まったという。
「だからもう、やるしかないなって感じだった」とカウフマンは語った。彼は社員たちに、「新しいAI技術を学ぶのであれば、受け身で待つのではなく、主体的に取り組む必要がある」と伝えたという。「自分自身を高めようとする意志を持つ人に対しては、私は全力で手を貸すつもりだ」と彼は語った。


