ハイテク大手のCEOが「AI失業」を警告
AIはここ数年の間、“人間を補完するもので、置き換えるものではない”とされてきたが、今や多くのテック企業のCEOがAIのネガティブな側面を率直に語っている。アンソロピックのダリオ・アモデイCEOは、AIが初級のホワイトカラー職の半数を消し去り、失業率を今後5年以内に最大20%まで押し上げる可能性があると語った。アマゾンのアンディ・ジャシーCEOも先月、AIによって今後の数年間で「同社全体の人員が減るだろう」と予測した。また、Shopifyのトビ・リュトケCEOも今年初めの社内のメモで、今後の新規採用の予算が、「AIによって自動化ができない職種」のみに割り当てられると述べた。
AIや自動化による人員削減や採用停止の動き
AIや自動化を理由に人員削減や採用の停止を明言した企業も出始めている。IBMでは5月、人事部門の数百人がAIに置き換えられ、合計8000人もの大規模な人員削減が実施された。同じく5月には、語学学習アプリ「デュオリンゴ」のルイス・フォン・アンCEOが、AIで代替可能な業務に関しては契約社員の採用を停止すると発表した。フィンテック企業Klarnaのセバスチャン・シェミアトコウスキCEOも5月に、AI投資の影響で従業員を40%削減したと述べていた。
マイクロソフトも今月初めに、全従業員の約4%にあたる約9000人を解雇して波紋を広げた。同社はこの人員削減の理由がAIにあるとは明言していないものの、AIへの投資を拡大し、コスト削減の効果を誇示してきた。ブルームバーグによれば、マイクロソフトはコールセンター業務の自動化によって5億ドル(約740億円)以上を節約したという。一方でサティア・ナデラCEOは4月、自社のコードの最大30%がAIによって書かれていると述べていた。「これは企業が優先順位を入れ替えている時に起きることだ」と、解雇されたマイクロソフトの元社員はフォーブスに語った。
マイクロソフトは、解雇の理由についての質問には答えなかったが、「我々は変化の激しい市場環境の中で、企業として成功するために必要な組織改編を継続的に実施している」と声明で述べた。
AIが雇用削減の「責任の転嫁先」になる場合も
特定の企業で人員削減が行われる理由を正確に特定するのは難しい。トランプ大統領の予測不能な関税政策によって経済環境の不確実性が高まっていることも一因と考えられる。また、パンデミック期に人員を拡大しすぎた企業も多く、最近のレイオフはその過剰採用の是正を図る動きとも受け取れる。
28万6000件以上のレイオフ計画のうち、自動化関連は2万件で、AI関連は75件
一方、今月初めに発表されたエグゼクティブコーチング会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのレポートによれば、AIはレイオフの真の原因というよりも、「責任の転嫁先」である可能性が高いという。今年予定されている28万6000件以上のレイオフのうち、自動化に関連するのはわずか2万件で、そのうちAIに明確に起因するものは75件に過ぎなかったと、同社は分析している。
テック業界以外では、エンジニアの需要が「緩やかに増加」
スタンフォード大学のチェンも、AIがもたらす生産性の向上を測るのは難しいと指摘している。なぜなら、すべての社員が職場で正式にAIツールを支給されているわけではなく、非公認のAIツールを会社に隠して仕事に利用している場合もあるためだ。
また、AIがテック業界の開発者の雇用に打撃を与え始めている一方で、実はテック業界以外では、エンジニアの需要が「緩やかに増加している」とチェンは言う。彼女の調査によれば、製造業や金融、医療といった分野の企業は、ここに来て初めてAIツールを導入しており、それに伴いこれまで以上に多くのエンジニアを雇用しているという。


