生成AIの普及で急増する電力需要とGHG削減の各国の政策
西和田:「KURKKU FIELDS」ができた2019年は、アスエネを創業した年でもあります。当時は、「CO2排出量の削減は確かに大事」と言いつつも、具体的な行動を起こしている企業は多くはありませんでした。
潮目が変わったのは、当時の菅義偉政権が「2050年にカーボンニュートラルを目指す」と宣言した20年。企業の意識も個人の意識も少しずつ変容していき、GHG(温室効果ガス)排出量の削減に取り組んでいることが投資家や大企業から評価され、生活者から“選ばれる企業”になる、という流れが生まれています。
今、世界で150カ国以上が50年前後のカーボンニュートラル実現を表明していますが、生成AIの登場でエネルギー問題は、新たな課題を抱えています。生成AIは従来の100倍の電力消費を生み出すといわれ、世界のデータセンターによる電力需要は2%から20%まで拡大すると予想されています。社会全体がAIシフトになれば、それだけ電力が必要になる。世界的な電力不足をどう解決するか、という重要なテーマに直面する今、原子力発電の再評価という流れも起きています。
小林:福島第一原発事故から14年。技術革新が進んでいることは理解していますが、原子力発電がどう変化し、どれだけ安全になったのかという実感を僕自身もまだもてていない。日本には原子力発電に対して大きな警戒感をもっている方もたくさんいらっしゃる。大切な
のは、安全性をいかにわかりやすく示していくか。適切な情報開示と丁寧な説明を続けていくことで、原子力発電の理解がこれから変わっていく可能性はあるのではないかと思っています。
西和田:メディアの報道を見ていても、原発再稼働に賛成か反対かという話で終わってしまい、議論不足が続いている。本来は過去の課題と反省を踏まえてどう改善すべきか、昨今新たに台頭している次世代原子力エネルギーの小型原子炉や核融合の安全性、技術力、将来の価格の実現性などを議論すべきです。
電力不足が深刻化する中、再生可能エネルギー(以下、再エネ)への評価も変わってきています。かつては、日本は国土の狭さから、太陽光発電は効率的ではないと批判もありまた。でも今では、各家庭にソーラーパネルを設置して自家消費するほうが、外部の電力会社から電気を購入するより安価になっています。つまり再エネがコスト削減につながっている。
小林:実は僕の作業スタジオにはソーラーパネルをつけているんです。室内をピアノにとって快適な温度を保つ必要があるので、結構エネルギーが必要で……。自家太陽光発電でスタジオ設備維持は十分賄えたうえに、売電によりお釣りが来るほどでした。
西和田:まさにそうなんです。CO2排出量も減り、コストも安くなるのですから置かない理由がないのですが、まだまだ知らない人が多い。企業だけでなく、個人が環境負荷を減らすためにできることはたくさんあると感じています。



