目標をどこに設定するか
星:私の立場から前回の資金調達時に関わったことは、主に2つです。1つ目は、「目標をどこに設定するか」という議論をさせていただいたこと。事業として目指しているマイルストーンはあれど、会社としてどこに向けて進んでいくか、という点です。すでに東北を代表するスタートアップではありますが、世界にインパクトを与えるような非連続な成長が必要な高いゴールを設定し、グローバルに本気で挑むのか、堅調な成長を志向するのか。例えるならば、甲子園出場を目指すのか、メジャーリーグを目指すのか。どちらが良い・悪いというのではないですが、全然違う目標ですし、ゴールが高ければリスクも高まるし、ファイナンスの手段も異なります。まずそのゴール設定について、3人で喧々諤諤、議論しました。3人で何度も深い議論をするなかで、グローバルを見据えて大きくビジネスすることを目標にしようと。その「目標設定」してからは、2つ目として、どんなエクイティストーリーを構築し、どのような投資家からどのくらいの規模の資金調達をするか、という手段の話もさせていただいた。グローバルに投資をしているWiLという今回のリードVCもおつなぎさせていただき、ご縁があって投資をいただきました。
松田:文登はよくも悪くもブレーキ気質がある(笑)ので、そういう意味では数多く議論をさせていただきました。ですが、しっかりと「グローバルを見据えていこうよ」「大きくなろうよ」という目指したい未来の合意ができたのは大きかったですね。
星:私から見た、へラルボニーのスタートアップとしての可能性は3つあると思います。1つ目は、日本発でのイノベーションを起こせる可能性があることです。例えば、ソフトウェア領域では、GAFAMのような世界的な巨人がいて、日本のスタートアップも当然頑張ってはいますが、グローバルの舞台で伍して戦うことは非常に厳しい面もある。一方、へラルボニーが持っている思想や哲学は、グローバルでも戦える可能性のあるスタートアップだと思っています。今回のカンヌライオンズ受賞や24年に受賞した「LVMHイノベーションアワード」(※従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン(Employee Experience, Diversity & Inclusion)部門選出)がその証左ではないでしょうか。意味のイノベーションという観点で、日本だけでなく世界にイノベーションを起こせるポテンシャルがあると思っています。
2つ目は、社会課題の解決と経済性を両立し、ポジティブな影響を社会にもたらすインパクトスタートアップの象徴となる会社になるのではないか、と思っています。マイクロファイナンスの五常・アンド・カンパニーとともにグローバルで戦える象徴の会社になる。象徴的な企業が増えれば増えるほど、この分野を目指す起業家が増え、社会がよりよくなると思っています。
最後は、個人的な希望にもなるのですが、カウンターカルチャーの精神を持ち、一般的な意味でのサラブレッドではない起業家がハングリー精神をもって、自分の成し遂げたいことをして、社会に大きなインパクトを与えるという意味で、可能性の象徴になってほしいです。こういったことを実現できる可能性は充分にあると思っています。


