教育

2025.07.23 15:15

「ググる」が創造性減ずる可能性──カーネギーメロン大・大学生244人との実験で

グループの場合

 Googleにアクセスできなかったグループは、特にグループの規模が大きくなるほど、一貫してより多様で独創的なアイデアを出す傾向があった。Googleにアクセスできるグループは、同じありふれたアイデアに収束しやすく、結果としてアイデアの重複が増え、多様性が失われた。Googleを使わないグループは「シングルトン」アイデア(1人のメンバーのみが考えたアイデア)を多く生み出し、それが集合的な創造性の向上に寄与した。

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アイデアの質については、効果性(どれほど実用的か)、新規性(どれほど意外か)、創造性の3つの基準で評価された。結果として、インターネットにアクセスしないグループは、ほとんどの評価軸でGoogle利用グループを上回るか同等の成果を上げた。特に効果性と創造性においてその優位性が顕著であり、新規性に関しては一貫性はなかった。

「これは、Google利用者が同じようなありきたりの回答を、しばしば同じ順序で思いついてしまうためだと考えられます。一方でGoogleを使わない参加者は、よりユニークな答えを出していました」と語るのは、研究の責任著者でありCMUのSDS教授のダニー・オッペンハイマー博士だ。「今回の研究は、インターネット検索によって固着効果が引き起こされる初めての証拠となりました。」

「たとえば『広げられるものは何か』を考えている人が、他人やGoogleから『バター』や『ジャム』といった回答を目にすると、他の食べ物(クリームチーズなど)を思いつきやすくなり、病気や噂など食べ物以外の答えを思いつきにくくなります。」

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この研究には限界もある。対象としたアイテムは「盾」と「傘」の2つのみで、それぞれの親しみやすさや複雑さの違いが結果に影響した可能性がある。また3分間という短時間では、より深いアイデアの発展や多様な検索は制限された。さらに、参加者はエリート大学の学生であり、より幅広い層では結果が異なるかもしれない。

それでも、この研究の発見には現実社会での実用的な示唆が含まれている。個人レベルでは、オンラインツールを活用することで創造性を高める人もいるが、集団で同じツールを使うと、アイデアが重複し多様性が損なわれやすい。ブレインストーミングの際にインターネットに頼ると、特に大きなチームでは発想が画一化し、革新性が失われる可能性がある。社会レベルでも、多くの問題は独創的で型破りな思考を必要とする。全員が同じオンライン情報源に依存すれば、創造的な成果が均質化し、大規模な問題解決を妨げかねない。

画一化する世界で「自分らしさ」を守る

研究者たちは「創造性が損なわれるからといって、インターネット検索をやめるべきだ」とは言っていない。むしろ、今後の改善と効率化の余地があると強調している。テクノロジーは今後も共にあるからだ。

「インターネットが私たちを愚かにするわけではありません。ただ、その使い方が有効でない場合があるのです」とオッペンハイマー氏は述べる。

「多くの人が、テクノロジーとの関係を再考しはじめています。毎週のように驚くような新しい進歩が発表されますが、私たちの研究が示唆しているのは、普通の人間として問題解決に取り組むときの重要な利点を忘れないことです」とパターソン氏は付け加えた。「まるで幼稚園の先生が言いそうなメッセージに聞こえるかもしれませんが、『あなたはあなたで、他の誰とも違う』ということは実際に重要です。私たちは自分の個性とテクノロジーに頼らない人間らしさを守る必要があります。それこそが他の人と少し違う解決策を生み出す力となり、とても価値のあるものなのです」



この研究は『Memory & Cognition』誌に掲載された。

出典:カーネギーメロン大学


(本稿は「Newatlas.com」7月3日の記事の翻訳転載である。)

Newsatlas.com

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