ストックホルムに拠点を置くスタートアップのLovable(ラバブル)が、米Accel(アクセル)の主導で2億ドル(約296億円。1ドル=148円換算)を調達し、評価額が18億ドル(約2664億円)に達した。同社は、人工知能(AI)を活用し、ウェブサイトやアプリを自動構築・開発できるツールを提供している。
スウェーデン史上最大規模のシリーズAを完了、新たなユニコーンに
Lovable創業者のアントン・オシカCEOは、自社のような「バイブコーディング(Vibe Coding)」をコンセプトに掲げる新興企業を欧州で立ち上げることは、「ハードモード」でゲームを遊ぶようなものという冗談を好んで話す。バイブコーディングとは、大規模言語モデル(LLM)のコーディング力と推論力を活用して、自然言語で指示するだけでソースコードを自動生成し、ウェブサイト、アプリなどに変換する新たなプログラミング手法だ(訳注:Microsoft Power Platformの「AIビルダー[AI Builder]」といった、コーディング不要の業務プロセス向け自動化ツール・機能などとは目的や用途が異なる)。
しかし、そんな「ハードモード」も同社の初期の成功を阻むことはなかった。設立から2年のLovableは、スウェーデン史上最大規模のシリーズAラウンドを完了した。これにより、ストックホルム拠点の同社は、後払い決済(BNPL)サービスのKlarna(クラーナ)、音楽ストリーミング大手のスポティファイ、『キャンディクラッシュ』で知られるゲーム大手のキングなどに続く、スウェーデン発の新たなユニコーンとなった。
Lovableの資金調達は、コード生成AIのスタートアップへの投資熱が高まる中で実現した。この分野では先日、OpenAIが買収を試みたWindsurfの主要幹部をグーグルが24億ドル(約3552億円)で取得し、ライバルのCognitionが残りの事業を買収するという動きが起きていた。
プログラミングの知識や経験をまったく持たない、膨大な層がターゲット
Lovableは、米国の競合であるReplitやStackBlitzと同様に、過去1年間で大きく成長してきた。その理由は、これら3社がプログラミングの知識や経験をまったく持たない膨大な潜在的ユーザー層をターゲットにしたことにある。先に挙げたように、これら企業の開発AIツールは、シンプルな指示文から数分で目的のサイトなどに変換する。「私たちのミッションは、誰でも(デジタルな)“もの作り”ができるようにすることだ」と、Lovableのオシカはフォーブスに語った。
これら分野および新興企業の急成長は、プロ向けUI・UXデザインツールのFigma、ウェブサイト構築ツールのSquarespaceといったライバル企業も注目しており、同様にコード生成AIやウェブサイト自動構築AIなどの独自機能を開発している。一方ウェブサイト構築ツールのWixは、ナスダック上場済みで資本面の余裕があり、6月にスタートアップのBase44を8000万ドル(約118億円)で買収することでコード生成AI・サイト自動構築AIという新しいトレンドをつかもうとしている。



