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2025.07.22 09:00

AIに指示するだけでウェブサイトを自動構築、スウェーデン新興が300億円を調達

Thawatchai Chawong / Getty Images

Accel、「今までソフトウェア開発に関与できなかった99%の人々のツール」との見立て

今回のLovableの調達には、20VCやbyFounders、Creandum、Hummingbird、Visionaries Clubなどの既存投資家も参加した。

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「Lovableのツールは、今までソフトウェア開発に関与できなかった99%の人々のものだ」と、Accelのパートナーであるベン・フレッチャーは述べた。同社は先月、開発者をターゲットとするコード生成AI搭載ツール「Cursor」の開発元、Anysphere(エニスフィア)の9億ドル(約1332億円)の調達ラウンドにも参加していた。

オシカによれば、新たに調達した2億ドル(約296億円)の資金は、現状で45人規模のチームの拡大と、より複雑なアプリやウェブサイトの生成・自動構築に対応するプロダクトの開発に充てられる。

厳格なセキュリティ基準を求める大手企業顧客とも協業

Lovableはまた、大手企業内の開発チームとの協業にも力を入れており、すでにBNPLのKlarna、セールスフォース競合のHubspot、フランスの画像編集スタートアップPhotoroomとの取引を獲得している。

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こうした企業顧客は、個人ユーザーよりもはるかに厳格なセキュリティ基準を求める可能性が高い。ニュースサイトSemaforは今年初め、LovableのAIがユーザーデータを露出させるセキュリティ上の脆弱性を持つアプリを生成していたと報じた。Lovableは、同社のAIツールが漏洩の原因ではないと反論したが、その後セキュリティチェックを強化した。

オシカは「ここ数カ月で、セキュリティ上の問題を検出できるようシステム面でいくつかの改善を行った」と述べたうえで、「Lovableの警告を無視するといった極端な過失でもない限り、セキュリティ上の欠陥が生じないような状態を目指している」と語った。

資金調達面で米国の主要な競合を上回る

これまで2250万ドル(約33億円)しか調達していなかった設立2年の同社は、今回のラウンドにより、資金調達面で米国の主要な競合を上回ることになった。Replitは2023年に9700万ドル(約144億円)を調達しており、StackBlitzは1月に評価額7億ドル(約1036億円)で8000万ドル(約118億円)の資金調達を交渉中だと報じられていた。今回のLovableの調達に関しては、ブルームバーグが先月、同社が投資家と協議中だと報じていた。

欧州のテック系ビリオネアも出資

Lovableは現在、スウェーデンの首都で勃興するAIスタートアップの中で最大の存在となっている。フォーブスは5月に、リーガルAIスタートアップのLegoraが8000万ドル(約118億円)を調達したと報じており、AIエージェント企業Sanaは、2024年10月に5500万ドル(約81億円)を調達していた。今回のLovableのラウンドには、Klarna共同創業者のセバスチャン・シェミアトコフスキによるファンドFlat Capital、Revolutのニク・ストロンスキー、Supercellのイルッカ・パーナネンCEO、Datadogのオリビエ・ポメルといった欧州のテック系ビリオネアも参加した。

時代を築く企業を作るための燃料は豊富にある

オシカは、Lovableが成長を遂げられた背景に、スウェーデンのユニコーン企業群や新たに登場したAIスタートアップ群から輩出された、豊富なAI人材のおかげだと述べている。なお、オシカ自身も過去にSanaやストックホルム拠点の別のAI企業に勤務していた。

スウェーデンのテックシーンは成長を続けているとはいえ、欧州は米国や中国に比べてLLMの開発では遅れを取っており、サンフランシスコが再びスタートアップの中心地として勢いを増している。しかし、オシカは地元の優位性を信じている。「欧州の平均的な野心のレベルは、米国に比べてずっと低い。しかし、もし私たちがここに火を付けることができれば、時代を築く企業を作るための燃料は豊富にある」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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