地球での暮らしは、決して先が読めない。その何よりの証拠が、過去5億年で起きた5度の大量絶滅だ。
1. オルドビス紀末の大量絶滅(およそ4億4300万年前)。わかっているなかで最も古い時代に発生した大量絶滅の一つだ。ごく短い期間で起きた急激な氷河期が主な原因だと考えられており、海水面が低下して、海洋生息環境が破壊された。それが海洋生物の生息地喪失と海水温の低下を招き、腕足類や三葉虫を含む海洋生物の約85%が絶滅した。
2. デボン紀後期の大量絶滅(およそ3億7500万年前~3億5900万年)。デボン紀後期の大量絶滅は、一度の事象ではなく、数百万年にわたって次々に発生した。主に影響を被ったのは海洋生物で、サンゴ礁や三葉虫、初期の脊椎動物などが多数、絶滅した。
その原因については議論が絶えないが、考えられるものとしては、火山活動や地球の寒冷化、植物の爆発的な繁殖などがあり、栄養素の流出や海洋の酸素欠乏につながった可能性がある。
3. ペルム紀末の大量絶滅(2億5200万年前)。「大絶滅(Great Dying)」とも呼ばれる、地球史上最悪の大量絶滅で、海洋生物のおよそ96%、陸生種のおよそ70%が姿を消した。原因として考えられるのは、シベリア・トラップ(中央シベリア高原を中心に広がる巨大な火成岩岩石区)をつくった火山活動などだ。
その結果、膨大な量のガスや火山灰が放出されて大規模な気候変動が生じ、海洋では酸性化や、広範囲での酸素欠乏が進んだ、などの説がある。
4. 三畳紀末の大量絶滅(およそ2億100万年前)。この大量絶滅では、およそ50%の海洋生物のほか、多くの陸生脊椎動物が姿を消した。原因は、パンゲア大陸(現在の大陸のほぼすべて集まっていた超大陸)の分裂と、それに連動した火山活動だと考えられており、気候変動や海洋の酸性化、炭素循環の乱れなどにつながった。
5. 白亜紀末の大量絶滅(およそ6600万年前)。恐竜が、他の多数の種とともに突如地球から姿を消した大量絶滅として有名だ。一般的に知られている主要な原因は、ユカタン半島近くに落下した巨大隕石の衝撃だ。チクシュルーブ・クレーターはそのときにできたとされている。この衝撃で気候変動が起き、いわゆる「核の冬」効果で空が暗くなったり、気温が急激に低下したりした。加えて、インドのデカン高原にある広大な火成岩岩石区「デカン・トラップ」を形成した火山活動が、環境にいっそうの負荷をかけた可能性がある。この時期に、非鳥類型の恐竜を含む種のおよそ75%が絶滅した。
このように、生態系は広範にわたって大惨事に見舞われてきたが、こうした逆境に負けず生き延びた生物たちもいる。地球を襲った大量絶滅を耐え抜いてきた動物たちを4種、紹介しよう。



