北米

2025.07.17 17:00

トランプがまた「TACO」? FRB議長の解任計画伝わるも直後に火消し

ドナルド・トランプ米大統領。2025年7月14日、ホワイトハウス(Kevin Dietsch/Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領。2025年7月14日、ホワイトハウス(Kevin Dietsch/Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領は16日、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長を解任する計画を否定した。これに先立ち、トランプが前夜にパウエルの解任をめぐり共和党議員らと話し合ったと報じられていた。トランプはここ数週間、FRBに圧力をかけてその独立性を試している。

また朝令暮改か

米紙ニューヨーク・タイムズが最初に報じたところによると、トランプは15日夜、共和党が押し通そうとしている暗号資産法案に関する会合で、パウエルを解任する書簡の草案を議員たちに見せた。トランプはパウエルの解任案について、出席していた議員たちに意見を求め、肯定的な反応を得たとロイター通信も確認している。

だが、報道が流れてからほどなくして、トランプは記者団に現時点でパウエルを解任する計画はないと述べ、臆測をみずから火消しした(編集注:報道後、外国為替市場でドルが急落するなど金融市場が動揺していた)。パウエルについて「わたしはどんな可能性も排除しないが、彼は詐欺で辞めざるを得なくならない限り(解任の)可能性は非常に低いと思う」と語った。

パウエルは2017年に大統領1期目のトランプに指名されてFRB議長に就任したが。トランプはジョー・バイデン前米大統領が彼を再任したことを批判している。

パウエルが政策金利の引き下げを決めないことにトランプは怒りを募らせてきた。最近はやや批判の矛先を変え、FRB本部の改修費が当初予定を7億ドル(約1040億円)上回るとされることをやり玉に挙げている。

トランプはこれまで、パウエルを解任しないと繰り返し述べてきた。しかし国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長は13日、米ABCニュースで、解任は「検討されている事案のひとつ」だと発言している。

一方、スコット・ベッセント財務長官は、4年の任期の満了を2026年5月に迎えるパウエルの後任選びについて「正式なプロセス」がすでに始まっていると明らかにしている。

そもそもトランプはパウエルを解任できるのか?

FRBの議長と理事は大統領によって指名されるものの、FRBは基本的に独立して運営されている。1913年のFRB創設以来、大統領がFRB議長を解任しようとした例はない。

1935年の連邦最高裁判決では、当時のフランクリン・D・ローズベルト大統領が、政策上の理由だけで連邦取引委員会(FTC)の委員を解任することはできないとされた。FTCもFRBと同様に独立機関である。ただし、トランプ政権は過去にこの判例に異議を唱え、連邦最高裁は一時的に、大統領が独立機関の全米労働関係委員会(NLRB)とメリット制度保護委員会(MSPB)の委員を解任することを認めた。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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