ビジネス

2025.07.29 15:15

「こうば」発・共創ムーブメントの今──急増するオープンファクトリー

「学ぶ」とは何か? 辞書を引けば「教えを受けて身につける。習得する」とでてきますが、果たしてそれだけの意味なのでしょうか。

古語では、「学ぶ」と書いて「まねぶ」と読み、「まねぶ」と使用された背景としては、「まねる(真似る)」が転じて「学ぶ」になったという説があるように、単に知識やスキルを習得するだけでなく、私は「いかに人生を、そして仕事を、心の底から楽しむか」という視点こそが、現代における真の学びにあるはずです。つまり、この楽しむ力こそが、地域に新たな価値を創造し、未来を拓く力となるのではないかと信じております。

今回は「学(まね)び合い」を今回はテーマに、オープンファクトリーがなぜここまで広がってきているのかについて考察していきたいと思います。


近年、オープンファクトリーの数は急速に増加し、全国で10数箇所だったものが、この数年で約60団体にまで増えました。この背景には、大阪・関西万博の影響が大きいと、経済産業省近畿経済産業局の津田氏は考察します。中小零細企業にとって、万博本体への関わりには費用がかかりますが、複数社で連携することで、万博に直接関わらずとも「まちのパビリオン」としての役割を果たすことができる、という考えです。

オープンファクトリーは「オープン」とついているように、実施している事業団体、参加企業がオープンマインドな方がとにかく多いように感じます。

なので、包み隠さず自分たちが実施しているオープンファクトリーを行ったことから獲得したノウハウや資料、やり方などを詳しく話して共有してくれる人が多く、「まねぶ」機会が多くあります。

またこのあと綴っていきますが、共感であったり、背景的価値であったりがオープンファクトリーが増加してきたことの理由に大きく関わっているのではないかと感じています。

全国の「こうば」が集う、まちなか万博「MEETS THE OPENFACTORY」

今年5月、ゴールデンウィークにルクア大阪(JR大阪駅)で開催された「MEETS THE OPENFACTORY! EXPO酒場ものづくりパビリオン」は、その好例といえるかもしれません。

北は、山形県の「360°よねざわオープンファクトリー」、新潟県の「燕三条こうばの窓口」、関西からは「FactorISM(ファクトリズム)」、広島県の「瀬戸内ファクトリービュー」、そして九州の佐賀県有田市からは「NEXTRAD(ネクストラッド)」と、全国5団体のオープンファクトリー事業団体が集結し、それぞれの地域の特色を凝縮した特産品を販売するマルシェを展開しました。まるで万博のパビリオンのような活況を呈し、各地のものづくりが持つ魅力と可能性を存分に発信する場となりました。

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文=松尾泰貴

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