北米

2025.07.17 13:00

米メタに1.2兆円の損害賠償求める「ケンブリッジ・アナリティカ事件」裁判の行方

米メタのCEOのマーク・ザッカーバーグ(Photo by Celal Gunes/Anadolu via Getty Images)

訴訟のその他の主張は?

この訴訟を起こした株主は、被告側がプライバシーに関する義務を果たしていないことを認識していたことを示唆する複数の主張を展開している。たとえば、フェイスブックはFTCとの合意後に、ユーザーのプライバシーが外部アプリと共有される可能性があることを通知する画面表示を、より目立つ場所に移動させたとされるが、その後、同意の前の目立たない場所に戻したとされる。この措置は、ザッカーバーグが認識した上で行われたと原告は主張している。

advertisement

また、フェイスブックのプライバシー責任者ユル・クォンは、2015年、ザッカーバーグとサンドバーグに対し、同社のプライバシー問題への対応が不十分であると警告したとされている。クォンは、フェイスブックの「プライバシープログラムは無秩序かつリソース不足」であり、同社がプライバシーの問題を適切に「優先事項として扱っておらず」、それが「巨大な問題」を引き起こしていると警告したという。

しかしザッカーバーグとサンドバーグが、クォンの提言に基づいてプライバシー体制を強化したのは、ケンブリッジ・アナリティカ事件後だったとされる。クォンは、もし彼の助言が聞き入れられていれば、この事件は回避できた可能性があると証言している。

また原告側は、フェイスブックの取締役会が2019年にFTCとの間で結んだ50億ドル(約7400億円)の和解についても問題視しており、「ザッカーバーグを法的責任から守るために必要以上の金額を支払った」と主張している。

advertisement

さらに訴状では、ザッカーバーグが2018年に約50億ドル(約7400億円)相当のフェイスブック株を売却したことも言及されている。原告側は、ザッカーバーグが同社のプライバシー義務違反を知っていたため売却したと主張している。

被告側の主張は?

被告側は不正行為の主張を強く否定しており、原告がフェイスブック幹部の違法行為を裏付ける証拠を何ら示していないと主張している。被告側は、原告が提出する証拠について「取締役会の指導のもと、フェイスブックが2012年の命令に従うべく効果的に取り組んできたことを示すだろう」と反論している。また、証拠は「フェイスブックが強固なプライバシー管理体制を導入」して、継続的にFTCにその取り組みを報告してきたことを示すと主張し、同社がコンプライアンスに無関心だという原告側の主張は、「証拠によって否定される」としている。

被告側はまた、一部企業に向けてより多くのデータアクセスを許可していた取引も、2012年のFTCとの合意に違反していないと主張し、ザッカーバーグの株式売却も法に則ったものであり、慈善活動の資金に充てるためだったとしている。さらに、ケンブリッジ・アナリティカ事件は確かに会社にとって「衝撃的な出来事」だったが、この事件が「ケンブリッジ・アナリティカによる巧妙な詐欺から生まれたもの」であり、「フェイスブック側の人間による悪意ある行いの結果ではまったくない」と主張している。

フォーブスによる評価額

フォーブスは、16日時点のザッカーバーグの保有資産を2423億ドル(約35.9兆円)と推定し、彼を世界で3番目に裕福な人物だとしている。訴訟の被告の多くは世界有数の富豪であり、サンドバーグの資産は約24億ドル(約3552億円)、アンドリーセンの資産は20億ドル(約2960億円)、ティールの資産は227億ドル(約3.4兆円)、ヘイスティングスの資産は68億ドル(約1兆円)と評価されている。

サンドバーグは、訴訟の一環として処罰を受けている

元COOのサンドバーグは、すでにこの訴訟の一環として処罰を受けており、今年1月にこの訴訟に関連する個人メールを削除したとして裁判所から制裁を受けていた。ロイターによると、これにより彼女が裁判で無実を証明するのが困難になる可能性があるとのことで、このメールに関する情報は裁判では使用されないという。サンドバーグは、自身では個人メールをほとんど使用していなかったが、自身が削除したメールが他のユーザーのCCに入っていたため、情報自体は保存されていると主張していた。

次ページ > ケンブリッジ・アナリティカ事件とは

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事