7月11日に公開され、北米興行収入で初登場1位を獲得して話題を呼んでいるDCユニバースの大ヒット新作映画『スーパーマン』は、中東パレスチナで起こっている事態を暗喩しているのだろうか。ジェームズ・ガン監督は直接の関連性はないと述べているが、保守派の政治論客ベン・シャピロから左派インフルエンサーのハサン・ピカーまでが参戦し、激しい論争が巻き起こっている。
『スーパーマン』を見た人々は右派・左派を問わず、本作で描かれる架空の国ボラビアとジャルハンプールの軍事紛争が、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区の暗喩であるか否かについて議論している。作中でスーパーマンは、優れた軍事力を有するボラビアが、防衛力をほとんど持たない貧しい隣国ジャルハンプールに侵攻するのを阻止する。
Twitchストリーマー兼ユーチューバーで、世界一人気の米ポッドキャスト司会者ジョー・ローガンと並ぶ左派論客と呼び声の高いピカーは13日夜、ボラビアが軍事大国であり、米国の同盟国として描かれている点に言及。ジャルハンプールへの侵攻を、ガザに対するイスラエルの軍事作戦と比較して、ボラビアがイスラエルを類推させる存在として描かれている可能性を示唆した。
ピカーは配信の中で、右派コメンテーターのシャピロが先に公開した動画に反論している。シャピロは自身の配信動画で、映画に描かれた紛争は「事実と一致しない」ため、イスラエルとガザになぞらえることはできないと主張。そのように見るのは「左派脳」を持つ人だけだと一蹴していた。
シャピロはさらに新作『スーパーマン』に政治的な意図があるとは思わないと述べ、この映画が移民を擁護しているとする見方や、ロシア・ウクライナ情勢への論評を含んでいるとの説も否定。こうした解釈は「政治に囚われた思考」によって引き起こされているにすぎない、との持論を展開している。
右派ユーチューバーのティム・プールも、映画がガザ紛争の暗喩だとの見解に異議を唱え、作中に登場する2つの国は「裕福な東欧の国」と「貧しい南アジアの国」として描かれていると主張した。



