日本のすばる望遠鏡による観測で、冥王星のはるか彼方に太陽を公転する新たな天体が発見され、太陽系に既知の惑星の他に「第9惑星」が存在する可能性に疑問を投げかけている。
「2023 KQ14」という仮符号が付けられたこの天体は、研究チームから「アンモナイト」の愛称で呼ばれている。惑星ではなく「セドノイド」と呼ばれる小天体群に属し、セドノイドとしては4番目に見つかった天体だ。日本と台湾を中心とする国際研究チームがハワイにあるすばる望遠鏡を用いた観測で発見し、その研究結果が英科学誌ネイチャー・アストロノミーに2025年7月14日付で掲載された。
セドノイドとは?
セドノイドは、太陽系最遠の惑星である海王星の公転軌道よりも外側にあり、非常に偏心した楕円軌道で太陽を公転している太陽系外縁天体のことだ。太陽から最も遠い軌道を回る天体の1つとして知られる小天体セドナに代表される。
天文学では、太陽と地球の間の平均距離を1天文単位(au)として天体間の距離を測定するが、セドナは太陽に最も近いところでは約76auまで近づく一方、最も遠いところでは900auも離れる楕円軌道を描いている。アンモナイト(2023 KQ14)は太陽に約66auまで近づき、252auまで遠ざかる楕円軌道をもつ。
アンモナイトと「第9惑星」仮説
ここ数カ月にわたり天文学界では、太陽系外縁部に存在する可能性が示唆されている9番目の未知の惑星「プラネット・ナイン」をめぐる研究発表が相次いでいる。5月には台湾の研究チームが、日米の赤外線天文衛星のアーカイブ画像から候補天体の手がかりを発見したと明らかにした。米ライス大学と惑星科学研究所(PSI)は6月、第9惑星が存在する確率は推定40%だとする研究結果を発表した。
第9惑星が存在するかもしれないとの仮説は、海王星の軌道の外側にあるカイパーベルト(エッジワース・カイパーベルト)と呼ばれる領域に、小天体が奇妙に集まって分布していることに基づいている。セドナ、2012 VP113、2004 VN112、2010 GB174、2013 RF98、2007 TG422の6つの太陽系外縁天体は、公転軌道がいずれも非常に細長く、紛らわしいほど似通った方向に偏心している。これは、未知の惑星の重力の影響を受けているためではないかと考えられている。



