メタは、フェイスブック上で急増する生成AIを用いたスパム対策として、オリジナルでないコンテンツを繰り返し投稿するアカウントの収益化の権利を剥奪し、レコメンドの対象から除外する取り組みを開始する。
コンテンツ盗用は従来人手が必要だったが、現在ではAIプログラムを用いて、人気投稿のわずかに異なるバージョンを何千件も自動生成できるようになっている。その結果、プラットフォームが人工的なコンテンツであふれ、オリジナルの投稿を行うクリエイターに不利益をもたらしている。
今回のメタの措置は、生成AIによる投稿によってオリジナル作品が埋もれていると訴える正当なコンテンツ制作者を保護するためのものだ。クリエイターは今後も他人の作品を共有したりコメントしたりすることが可能だが、単なるウォーターマークの追加や簡易な編集ではなく、「意味のある付加価値」を付け加えない限りペナルティの対象となる。
「同じミームや動画が何度も表示され、他のクリエイターになりすましたアカウントや、スパム的なアカウントを用いたコンテンツが増えている。これによりユーザー体験が損なわれ、新しい声が埋もれてしまう」と、メタはブログの投稿で述べている。
同社は改定後のポリシーのもと、フェイスブック上の重複する動画や投稿の配信を減らし、コピーされたコンテンツをオリジナル投稿者にリンクする帰属表示機能のテストを行うと述べている。また、ユーザーのフィードに表示されるコンテンツはオリジナルのものが優先される。これらの変更は今後の数カ月をかけて段階的に実施される予定だ。
またコンテンツ制作者は、収益化やおすすめ表示のペナルティ対象となるリスクがあるかどうかを、プラットフォーム上で確認できるようになった。
「AIスロップ」に対抗
メタは2025年上半期だけでスパム行為に関与した50万アカウントを取り締まり、コンテンツ制作者になりすました1000万のプロフィールを削除した。この取り締まりは、業界関係者が「AIスロップ」と呼ぶコンテンツ、SNSのタイムラインを反復的に埋め尽くす、人工的に生成されたコンテンツを標的としたものだ。
メタのコンテンツ監視体制には批判も
メタのこの動きは、YouTubeの新たな規制に続くものだ。YouTubeは7月、「YouTube ショート(YouTube Shorts)」上においてAIスロップ対策を導入した。
ただしメタは、主にAIを用いて運用しているコンテンツ監視体制については誤検知が多いと批判されている。すでに人間による審査を導入するよう求める動きがあり、3万人以上が署名している。



