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2025.07.18 09:30

すべての企業が「AI企業になる」ことを求められる、取るべき指針・戦略とは

Shutterstock.com

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米国では、人工知能(AI)がほぼすべての業界を一変させており、ビジネスの構造そのものが全面的に刷新されつつある。そのため企業の経営層は、事業の拡大方法を模索している場合であれ、労働力の再構築に取り組んでいる場合であれ、コストと見込まれる成果を検討してその導入についての決定を下す必要がある。そしてその成果は、決して保証されたものではない。

「マネージャーにとってAIエージェントは、初歩的な研修を監督する時間を減らし、より価値の高い業務に集中する時間を増やすことを意味する」と、フォーブス寄稿者でサンフランシスコ拠点のスタートアップ、Jotformのアイテキン・タンクCEOは述べている。

「ここで鍵となるのは、スマートな権限の委譲だ。起業家やマネージャーは、AIエージェントに特定の研修タスクを任せつつ、戦略的な方向性の決定は自らが行うべきだ。AI主導の学習を迅速に導入する企業は、大きな競争優位性を得ることになるだろう」。

ここでは、フォーブスの寄稿者たちが提案するAI導入の指針を列挙しておこう。

AIは万能薬ではない──ツールは戦略的に使え

文章の作成や編集は、現在最も人気のあるAIツールの使い道だ。マッキンゼー・アンド・カンパニーが2024年末に実施した調査によれば、63%以上の経営幹部が、社内で生成AIを使ってテキストを書いており、チャットボットへの依存も高まっていると回答した。

しかし問題は、社員たちが「AIツールはむしろチームの生産性を下げることがある」と感じている点にあると、寄稿者のトー・コンスタンティーノは報じている。彼は、「上層部が期待する生産性の向上」と「現場の大多数が共有する冴えない結果」との間に「驚くほど大きな乖離」があるという研究結果を引用している。

実際、シカゴ大学のアンダース・ハムラム教授とコペンハーゲン大学のエミリー・ヴェスタゴー教授が2025年に発表した研究では、「AIチャットボットは、いかなる職種においても収入や労働時間に有意な影響を与えていない」と結論づけられている。つまり、生産性のわずかな向上は、「成長の可能性と自己決定権を失った」と感じる従業員の意欲の低下によって相殺されたというのだ。

人材マネジメントツール企業Deeper SignalsのCEOで、フォーブスの寄稿者のリース・アクターは、AIを用いた施策を「単なる業務の拡大手段ではなく、チームが試行錯誤できる場」として提供することを推奨している。

「好奇心旺盛で意欲的で、協調的なチームの特性をAIで増幅できれば、新たなイノベーション、新たな収益の流れが生まれる可能性は高くなる」とアクターは述べている。

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編集=上田裕資

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