技術文明の存在指標「テクノシグネチャー」を探せ
現代文明が遠く離れた宇宙から発見される可能性をめぐっては近年、太陽系外の恒星系にある惑星が注目されている。研究者らが探しているのは、高度な技術文明が存在するか、過去に存在したことを科学的に証明する指標「テクノシグネチャー」だ。微生物などの生命が存在する可能性を示す「バイオシグネチャー(生命存在指標)」よりも、検出が容易だと考えられている。
2024年10月、太陽系から41光年の距離にある恒星系トラピスト1(Trappist-1)を対象としたテクノシグネチャーの探査が、米カリフォルニア州のラッセン国立森林公園内にあるアレン電波干渉計(ATA)を用いて行われた。トラピスト1は主星の周りを7つの地球型惑星が公転していることから「太陽系2.0」と呼ばれているが、このときの調査では何も発見できなかった。
「宇宙人を探す」以上の意義
レーダー信号に関する今回の研究結果は、地球外生命の探査手法の高度化にもつながる。人工的な信号が宇宙からどのように検出され得るかを理解すれば、他の恒星系が発する同様の兆候を探知しやすくなる。
それだけでなく、この研究には、どこかにいるかもしれない宇宙人を探す以上の幅広い意義がある。
共同研究者であるマンチェスター大学のマイケル・ギャレット教授は、「こうした弱い信号をモデル化・検出するために開発された手法は、天文学やプラネタリーディフェンス(惑星防衛)、ひいては人類の技術が宇宙環境に及ぼす影響の監視にも活用できる」と説明。「人類の発する信号が宇宙をどのように伝播するかを知ることで、通信用電波のスペクトルを保護し、今後のレーダーシステムを設計するための貴重な知見を得られる」と述べた。
電波天文学の革命
天体が発する電波を観測することによって天体を研究する電波天文学には、まもなく革命が起きようとしている。近く完成予定の国際電波望遠鏡プロジェクトSKA(Square Kilometer Array:スクエア・キロメートル・アレイ)は、テクノシグネチャー検出に貢献すると期待されている。
22億ドル(約3270億円)を投じて建設中のSKAは、大規模かつ複雑な2つの電波望遠鏡ネットワークで構成される電波観測所だ。南アフリカ北ケープ州カルーに「ディッシュ」と呼ばれるパラボラアンテナ197基が、オーストラリア西部のマーチソン電波天文台に13万1072基の低周波アンテナが設置中で、完成すれば2大陸にまたがる集光面積は1平方kmに及び、非常に微弱な電波信号でも検出できるようになる。


