FMH側に見えた、受け入れる気のない選考プロセス
FMHは4月25日、ダルトン側の取締役候補者全員に個別に連絡を行い、なぜ自らが社外取締役として相応しいのか、経営再建に対する具体的な方策の提案は何かなど、膨大な量の回答書への記入を、わずか5日後の30日までに求められ、さらに形式的な30分弱のビデオ会議による面接を要求してきた。筆者と福田氏は、それぞれ、7~8時間かけて真摯に回答したが、FMH側3人によるビデオ面接は、明らかに我々の提言を熟読したとは思えない形式的なもので、社外取締役(当時)の女性に至っては、何の質問も無く、兼務についての軽微な質問があったのみであった。
この時点で、FMH側は、ダルトンの候補者を検討したという事実を残したかっただけで、我々の誰をも取締役として迎え入れる意思が無いことは明白であった。そのため、急遽筆者がNews PicksやPivotに出演、全国紙のインタビューにも応じ、提案内容が何であったのかを株主総会前週に開示した。
我々の主な提案内容は不動産事業の分離ではなく、IP(知的財産)として価値の高いテレビドラマの作成を再興しつつ、質の低い安直なバラエティ番組を削減。バラエティか報道かの区別がつかないようなニュースは再編し、収益性の乏しいスポーツ放映権やイベント事業、そして海外向け動画配信サービスや番組販売などの国際事業の見直しを提言するものであった。
しかし、こうした改革案が議論の俎上に載ることはなく、2025年6月の株主総会では、会社側の取締役候補が全員選任され、ダルトン側が提案した候補者はすべて否決された。
「放送経験なき取締役」で再建は可能か
株主総会でのFMH側の宣言ではアニメの強化をうたっているが、すでに飽和状態にあるアニメ産業での短期の成果は見出しがたい。そのため、本来は音楽出版や映像IP資産を持つフジパシフィック、ポニー・キャニオンの改善にこそ着手すべきであると筆者は考える。
放送産業の経験の乏しい社外取締役が過半を占める現体制で経営改革を成功させることが出来るのか疑問は残るが、もちろんFMH、そしてフジテレビの再興を強く望むところである。


