━━2024年春、Boxのオリビア・ノッテボーンCOO(最高執行責任者)とのインタビューで、日本の企業の多くは中堅・中小企業で、さらなる成長の可能性を秘めた市場だという話がありました。今後のフォーカスは、大企業から中堅・中小企業へ移っていくのでしょうか?
レヴィ:あらゆる企業にサービスを提供したいと思っています。そのためにも、中堅・中小企業にも目標を広げることを明確にしました。とはいえ、あらゆる規模の企業に貢献したいという考えに変わりはありませんよ。
━━中国など、ほかの国や地域への展開にもいっそう力を入れる予定ですか?
レヴィ:中国は難しいかもしれませんが、シンガポールや韓国で何ができるかを検討しています。もちろん他の市場のことも考えていますが、依然として我々にとって重要なのは日本です。
━━必ずしも多くのシリコンバレー発のテック企業が日本市場の攻略に成功しているわけではありません。その点、Boxは日本市場の売り上げ比率が2025年1月締めの決算ではグローバル全体の約23%に達しています。日本で受け入れられた理由はどういった点にあるとお考えですか?
レヴィ:いくつかの要因があると思います。まず、カツさん(Box Japanの古市克典 代表取締役会長)のように、初期に最高の人材を採用できたことですね。ノリさん(Box Japanの佐藤範之 社長執行役員)も素晴らしい。とにかく見事なチームですよ。加えて、日本国内に極上のパートナー企業がいます。早い段階で多くのエコシステム・プレイヤーと提携できたうえに、クラウド・コンピューティングが爆発的に普及する段階で参入できました。
その組み合わせを、今度はAIでも再現したいですね。クラウドで実現できたので、今度は会社の新章としてAIで再現したい。Boxにとっては新たな章の始まりで、顧客が自社の情報資産とAIエージェントの能力を最大限に引き出せるよう、プラットフォームとして進化を続けていきます。
━━レヴィCEO自身がトップセールスをしていることも助けになったのでしょうか。頻繁に来日していますよね。
レヴィ:その点は、初期のCOO(最高執行責任者)であったダン・レヴィン(Box元社長兼COO)、その後任COOのステファニー・カルロ、そして現COOのオリビア・ノッテボーンに敬意を表したいですね。リーダーシップ・チームはいつも来日するようにしていると思います。とはいえ、この素晴らしい実績はひとえに日本のBox Japanチームが長年かけて築き上げたものですよ。
━━AIの進歩についてばかり語られがちですが、ひょっとすると、今度は私たち人間がAIの使い方を学ぶ番かもしれません。そのために何らかの“教育”、ユーザーにAIの使い方を学んでもらうことが必要になると思いますか?
レヴィ:そう思います。AIは、人々が認識しているよりもはるかに多くのことができる段階にあるので、これからは「AI教育」が重要になると思います。特に、企業で働くナレッジワーカー(知識労働者)にとってはそうですし、AIエージェントを使うようになればなおのこと重要になるでしょう。100%、まったく新しい方法で人々を教育する必要が出てくるはずですよ。
━━それはBoxの顧客サービスが、従来よりも踏み込み、ユーザーがAIを使うのを支援したり、助けたりする方向へと変化することを意味するのでしょうか?
レヴィ:そういうことです。Boxのユースケースという文脈においてですが、その必要も出てくるでしょう。それが重要になるのは間違いありません。顧客企業が社内でどのようにBox AIを使えるかについて、我々はこれまで以上に多くの情報や資料を作成し提供していくことになると思います。


