ツアー参加で理系志望が「55ポイント増」
東京都の調査によると、オフィスツアーに参加した生徒の理系志望率は、参加前と比べて最大55ポイント上昇するなど、大きな行動変容が見られたという。一方で、高校生の約4割が「性別で教科の得意不得意がある」と回答しており、特に女性の間では「理系は男性が得意」という認識が根強いこともわかった。今の時代でもそうなのかと驚いた。
しかし、見学後、生徒たちは「話を聞くだけじゃなくて、実際に体験することが大事」と口々に語った。興味深いのは、参加者の中に文系選択の生徒もいたことだ。高校3年生の一人は「文系の参加者が私しかいなかったけれど、進路選択が終わっている場合でも、広い意味で考える機会になりました」と語った。
別の生徒も「文系志望の人は参加しにくいかもしれない。でも文系理系にかかわらず、積極的に参加した方がいい。道が広がる」と話した。オープンキャンパスだけではなく、職場を見ることの重要性を実感したようだ。
山田進太郎D&I財団は、2028年度までに全国47都道府県で開催し、7万人参加を目指している。すでに学校単位での参加も始まっており、先月は東洋英和女学院の中学3年生200名が参加。財団は出前授業や企業訪問などを含む学校向けプログラム「Girls Meet STEM for School」も開始した。
「実際に働いている姿を見て、イメージが湧いた」との生徒の声が物語るように、百聞は一見に如かず。ロールモデルとの出会いが、女子生徒たちの未来を大きく変える可能性を秘めている。さらに、東京から始まり、日本全国へと広がることを期待している。そしてもちろん、男子・女子にとらわれず様々な選択が広がってほしい。
見えない壁を越えるために
「数学ができないから文系を選んだ」という生徒の言葉が印象的だったが、品川女子学院では生徒が自分の興味や適性を考えられる仕組みを作り、文理の壁を作らない努力をしている。
例えば、文理選択前の高1で理科3基礎科目(物理・化学・生物)と、社会の2総合科目(地理・歴史)と公共をすべて履修するという。文理選択は高1の2学期末までに決定し、高2から実際に分かれる。しかし文系を選んでも数学Ⅱは必須で、希望すれば数学Ⅲも選択可能。さらに高2と高3の間での変更も認めており、週8時間の自由選択科目では文理の枠を超えて学べる。
それでも、生徒が「数学ができないから文系」と考えるのは、学校制度の問題というより、社会全体に根付いた固定観念の根深さを物語っていると感じた。
さらに、本来は「文系」「理系」といった境界線など存在しないはずだ。私たちの生活は科学や数学などの知識に支えられている。しかし、多くの高校生が高1という早い段階で「自分には無理」と可能性を狭めてしまう。
『数学ができないから文系を選んだ』との言葉が、今も残っている。もし高1の時にこのツアーに参加していたら、違う選択をしていたかもしれない。それだけでも、この取り組みには十分な価値があるだろう。



