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2025.07.18 12:30

「ショート動画」依存で脳が変わる? 研究が示す2つの悪影響

Liudmila Chernetska / Getty Images

Liudmila Chernetska / Getty Images

近年、レシピやスキンケアのコツからニュース速報まで、ほぼあらゆる情報が短いショートサイズのコンテンツとして提供されている。リールをスワイプし、ストーリーをタップし、果てのないフィードをスクロールしているうちに、いつの間にか時間が消えてしまった経験はないだろうか。多くの人がそう感じるのは、現代のコンテンツが「速く、目が離せない」デザインへと進化した結果だ。

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実際、コンテンツはますます短く、活気に溢れ、そして中毒性を帯びている。今やほぼすべての業界が、この「クイックコンテンツ」依存を取り込もうとしており、「最初の3秒で注意をつかむか、完全に失うか」が勝負となった。

なかには、数日で消えていく「注目を引くコツ」テンプレートやトレンドサイクルに関するコンテンツさえ見つけることができる。

2024年にオックスフォード大学出版局は、「brain rot(腐った脳)」をその年の言葉に選出した。この用語は、終わりのないスクロールがもたらす頭のもやもや感や認知機能の低下を表すものとして、Z世代によって広められた。

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専門家は、しばしば「ただ動画を見ているだけ」と見なされがちなこの習慣が、集中力を鈍らせ、記憶を弱め、意思決定を混乱させるなど、脳の働きを実際に変化させていると警鐘を鳴らす

この警告を裏づける研究が、学術誌『NeuroImage』に発表された。研究チームは、行動分析・脳画像・意思決定の計算モデルを組み合わせ、ショート動画依存の心理的・神経学的影響を調査した。過度な視聴が脳による報酬・リスク・選択の処理にどう影響するかを検証し、次の2点を明らかにした。

1. 現実の結果への感受性が低下する

ショート動画への依存は「損失回避性」(loss aversion)を損なう。損失回避性とは、同等の価値に対して、得る喜びよりも失う痛みを強く感じる傾向を指す。意思決定において、この感覚はリスクを避ける防波堤となるが、感受性が低下すると、結果を十分に考慮しない衝動的・リスキーな選択が増える。

研究では、ショート動画依存症状が強いほど損失回避性が低下する傾向が確認された。つまり、依存度が高まるにつれ潜在的な損失に鈍感になり、リスクが高くても報酬(得ること)を優先しやすくなる。

脳スキャンでは、利益を思い描く際、依存度が高い被験者ほど楔前部(けつぜんぶ、precuneus)の活動が低かった。楔前部は熟考や結果の評価に関与する領域で、この活動が低下すると脳は危険にさらされているものを十分に処理できない可能性があり、とくに興奮を伴う報酬場面でリスクを見落としやすくなる。

要するに、損失が大した問題ではないと感じ始めると、意思決定は報酬追求型に歪む。次にスクロールに没頭しそうになったら、「判断力と引き換えに脳を報酬追求に慣らしてよいのか」と自問してみてほしい。

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翻訳=酒匂寛

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