2. 情報処理の速度が遅くなる
無限スクロール症やショート動画依存でよく報告されるもう1つの影響は、頭のもやもや感の増大、集中困難、些細な決定すら過度に考え込む状態である。
研究チームはドリフト拡散モデル(Drift Diffusion Model)を用いて「ドリフト率」を測定した。ドリフト率は、脳が意思決定前に証拠を収集・処理する速度を示す指標で、高いほど迅速かつ自信をもって結論に達し、低いほど思考が遅く複雑になる。
ショート動画依存症状が強い被験者は、ドリフト率が著しく低かった。すなわち、脳が証拠をゆっくり蓄積し、意思決定が遅く非効率になる傾向があった。
この遅延は再び楔前部の活動低下として現れた。同領域は集中・熟考・選択肢の評価を担うため、活動が鈍ると情報処理がさらに遅くなり、単純な選択でも精神的負担が増す。
最近、頭がぼんやりしやすい、日常の判断に圧倒される、数分と集中できない――そんな感覚があれば、単なる意志力の問題ではなく、コンテンツの速度に脳が適応したサインかもしれない。絶え間ない刺激を断ち、脳に静けさを取り戻させることが必要だ。
何もしないことの美しさを取り戻す
私たちは、常にエンゲージメントを追うあまり、退屈の価値を忘れがちだが、「意味のない時間」は創造性・問題解決・深い思考を促すうえで有益で、ときに不可欠である。
退屈なとき、心は自由に漂い、普段の情報洪水では浮かばないアイデアを探究できる。静かな空白こそ、自分自身の声が最もよく聞こえる。
コンテンツの視聴を完全にやめる必要はないが、意図的にそれと関わる方法を学ぶことはできる。何を見るか、なぜ見るのかを意識的に考えることは、コンテンツに完全に消費されることのないツールとして利用するのに役立つ。
「刺激」を求めてアプリを開く前に、「今、このアプリを使いたい理由は何だろう?」と自問してみるとよいだろう。娯楽、インスピレーション、つながりを求めているのか、それとも単に静寂を避けているだけなのかを内省するのだ。
同時に、無意味な時間も評価し始めよう。意図的に退屈することを習慣にするのだ。画面から離れる方法を見つけよう。たとえば、スマートフォンを持たずに散歩する、窓の外を眺める、あるいはただ静かに座る、などである。
これらの瞬間は空虚に思えるかもしれないが、心をリセットし、内省し、その自然なリズムを取り戻させてくれるのだ。


