北米

2025.07.15 15:00

米国民に迫る関税負担 1世帯2800ドル、大手企業の8割超「半年内に値上げ」

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米イェール大学の予算研究所(TBL)は14日、ドナルド・トランプ大統領が13日までに導入したすべての関税が発効・維持された場合、2025年に1世帯あたり平均2800ドル(約41万円)の負担増になるとの試算を明らかにした。

実効関税率、1910年以来の高水準に

TBLは、トランプの関税政策が米国経済にもたらす影響の分析結果を随時更新している。14日公表の最新分析では、日本(25%)、韓国(25%)、ブラジル(50%)、カナダ(35%)、欧州連合(EU、30%)、メキシコ(30%)など各国・地域に対する新たな「相互」関税率や、銅(50%)など個別品目に対する関税率を含め、前日までに発表されたすべての関税が考慮されている。

一連の関税がすべて発効して維持された場合、米国の消費者にとっての実効関税率は20.6%となる。これは1910年以来の高い水準だ。

TBLは、これらの関税によって米国の物価は短期的に2.1%押し上げられ、2025年に1世帯あたり平均2800ドルの損失になると見積もっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が取り得る対応策、たとえば利下げなどによる追加の影響はここでは除外されている。

また、トランプの関税によって失業率は年末までに0.5ポイント悪化し、2025年の実質国内総生産(GDP) 成長率は0.9ポイント押し下げられる可能性があるとしている。長期的には米経済の規模を毎年、恒常的に0.5%、額にしておよそ1350億ドル(約19兆9000億円)縮めることになる。

一連の関税は建設や農業といった部門に悪影響をもたらすと予想される一方で、製造業の生産を2.6%拡大させると見込まれている。

10年で370兆円の関税収入

TBLは、これまでに発表されている関税が発効・維持された場合、2026〜35年におよそ2兆5000億ドル(約369兆円)の増収効果があると試算している。一連の関税によって3兆ドル(約443兆円)が集められる一方、マイナスの影響として4870億ドル(約71兆9000億円)が失われる。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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