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2025.07.16 18:00

その年相応は誰が決めた? 「人生で人より遅れている」と感じるあなたへ、発想を変える方法

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この研究では、参加者が過去の成功体験を思い出し、将来の目標を大まかに説明する短い文章を書くだけでも、「自分は行動を起こすことができる」という自信が強まることもわかった。

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このことから、遅れていると感じたら、「自分はできる」という証拠を脳が無視している可能性があることを思い出してほしい。時として、前進するための最短の方法は一旦立ち止まり、自分がすでにどれだけのことを成し遂げたのかを思い出すことだ。

2. 明瞭に振り返るために客観視する

自分自身や自分の人生に参ってしまったり、行き詰まりを感じたりしたときには、そうしたことを頭の中で再生するのではなく、一歩引いて自分が置かれた状況を観察すること。それによって苦痛を劇的に軽減し、より明確な洞察を得られる。

専門誌『Journal of Personality and Social Psychology(ジャーナル・オブ・パーソナリティ・アンド・ソーシャル・サイコロジー)』に掲載された研究では、自発的なセルフディスタンシング(自己距離化)、つまり自分のネガティブな経験に想いを馳せて追体験するのではなく、第三者の視点から見るという生まれつきの傾向が持つ現実の心理的・対人的な利点を調べた。

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研究チームは、日々の内省の中でセルフディスタンシングを行うことが、管理された実験室で見られるような感情的な利点につながるかどうかを調べた。その結果、自然にセルフディスタンシングを行った参加者は、内省時とその後の感情的・生理的反応(例えば、ストレスや意気消沈)が少ないことがわかった。

これらの効果は、回避や感情の抑制によるものではない。むしろセルフディスタンシングを行った人は起こったことの追体験よりも、意味づけや解釈を行っていた。これにより、数週間後には気持ちが落ち着いていた。

さらに、恋愛関係においてもセルフディスタンシングを行う人は建設的に問題を解決し、対立をエスカレートさせない傾向にあった。一方で、何度も思い返す人は対人関係を悪化させることが多かった。

反芻思考や再評価のような特性を考慮に入れても、セルフディスタンシングは感情的回復力につながることを予期させる要素であることに変わりはなかった。

この研究は、自己批判で行き詰まりを感じたとき、「なぜ自分はこうなのか」ではなく「なぜ自分はこう感じたのか」というような第三者的な考え方にシフトすることで、恥ずかしい思いや回避のスパイラルに陥ることなく、より明確に課題を処理できることを強調している。

なぜ自分はまだそこにいないのだろう、というもどかしさのスパイラルに陥っているときや、自分以外はみんな前に進んでいるように感じているとき、セルフディスタンシングは強力なリセット効果を発揮する。

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翻訳=溝口慈子

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