社会の一員として、私たちは次第にタイムラインに支配されるようになる。卒業・就職・結婚・子どもを持つ時期から「己に気づく」べき時期に至るまで、あらゆることに社会的に認められている最適な時期があるように見える。
このようなプレッシャーは、SNSのフィードで他の人が人生の節目を迎えるのを目にしたり、家族との会話あるいは同年代の人との微妙な比較によってもたらされたり、強く感じたりする。
そのため、当然ながら「自分は年相応のことを達成していない」という考えが染み付くことになりかねない。タイムラインへのこうした執着はストレスを生むだけでなく、自分の進歩を評価する方法を歪めてしまう。最終的には、自分がどれだけ成長したかさえ見えなくなる。
厄介なのは、この思い込みが事実のように感じられたり、自分が十分なことをしていないという証拠のように感じられたりすることだ。実際にはこうした信念は通常、現実の人生の複雑さを反映していない、成功や進歩の限定された定義によって形成されている。
スタートを切るとき、人によってペースや手にしているリソース、取り巻く状況、責任などは異なる。自分と比較対象相手のスタートラインは同じではない。そのため、自分の道を他人のものと比較するのは不公平でしかない。
ある年齢までに、あるいは他の人と同じように何かを達成できなかったからといって、あなたが遅れているということにはならない。それは単に、あなたが異なる道を歩んでいるということだ。
人生で遅れを取っていると感じるのをやめ、自分の進歩を認められる2つの方法を研究に基づき紹介しよう。
1. 時間に関する考え方のバランスをとり、「自分ならできる」という認識を高める
「遅れを取っている」という考え方をシフトさせる強力な方法の1つは、自分の過去と未来にどう関わっているかに目を向けることだ。
2019年の研究では時間に対する認識、特に過去と未来との関わり方が目標を達成する自分の能力に対する考え方、いわゆる自己効力感にどのように影響するかを調べた。
研究チームは2つの研究を通して、異なる時間的展望を活性化させることが、人々の自信や個人的な目標の遂行に影響を与えるかどうかを調べた。
最初の研究では、参加者に近い将来達成したい目標を挙げてもらった。最終的に目標を達成した参加者は「過去肯定」と「未来」の時間的展望のスコアが高かった。つまり、過去の成功体験を覚えているだけでなく、未来に対して前向きな考え方を持っていた。
だが、人生は自分ではどうにもならないという信念を持つことを指す、「現在の状況は運命で決まっている」という考え方のスコアが高い人は、自分の成功する能力を信じない傾向が強かった。
2つ目の研究では、過去に成し遂げたことや将来の目標、あるいはその両方について参加者に文章を書いて振り返ってもらった。その結果、ポジティブな過去を持ち、将来の目標をはっきり見据えている人は自己効力感がかなり高いことが明らかになった。
この研究は、「自分は人生において遅れを取っている」という思いが、感情的なものであるだけでなく、認知的なものであることを示している。
常に自分を他人と比べたり、まだ起こっていないことばかりに目を向けていると、未来を不安視し、過去の失敗に注意を向けるというアンバランスな時間的展望を持つようになる。研究に見られるように、この組み合わせは自己効力感を低下させるだけだ。
これを変えるには、過去の成功体験を思い出し(過去肯定)、未来に向けた明確な意図(未来志向)と組み合わせて、時間的展望のバランスを意識的に調整することに集中する必要がある。このシフトは、真の行動の変化につながり得る。



